【高度専門職】高度専門職の要件について専門家が解説

外国人の在留資格申請を専門にしている行政書士事務所で代表をしております 岩崎 達也 です。今回は高度専門職の在留資格について紹介していきたいと思います。私の身近なところで、「高度専門職ってどうなの?」という相談が多く寄せられています。修士をとっていたり、博士号を持っていたりする方は大変注目している在留資格です。日本国政府としても外国人の高度人材が日本に来ることは政策の一環として推進しておりますので、私たち行政書士いわさき事務所としましても、高度人材の外国人の皆様へ高度専門職ビザ取得のサポートを多く行いたいと考えております。

日本で働く高度人材外国人のイメージ
目次

高度専門職とは?

高度専門職は1号と2号の2種類があり、高度専門職1号には3種類あります。名称は高度専門職1号イ、ロ、ハです。高度専門職2号は1種類になります。
高度専門職とは、出入国在留管理庁が作成した高度人材ポイント表に基づいて、70点以上のポイントを得られることで申請にチャレンジできます。
また、80点以上の加点がある人は高度専門職として日本で1年在留すると、永住者ビザにチャレンジすることができる点は大きな特徴と言えるでしょう(永住者との違いは後述しています)。
この在留資格は1号から始めることになります(いきなり2号になることはありません)。というのも、2号となるためには高度専門職1号で3年以上日本に在留することが求められているからです。
高度専門職の要件はポイント表による計算だけではありません。素行善良要件や国益要件なども求められますので、交通違反に気を付けつつ、納税や社会保険料の納付などは期限を守ってきちんと行いましょう。
そして、いま留学生で資格外活動許可でアルバイトをしている場合、週28時間以内の労働時間を守るようにしましょう
高度専門職一号、二号に関する簡単な説明は以下をご覧ください。

高度専門職1号イ(研究者・研究者を目指している方はこちら)

この在留資格は「教授」ビザによく似ています。
日本の大学などにおいて大学教授等の研究者の職に就く場合、こちらの在留資格も選択肢のひとつとなります。
大学教授等の大学教員になる方は、大抵博士号(Doctor’s Degree)をお持ちだと思いますので、高度専門職になり易いといえます。
「教授」ビザとの大きな違いは、自分が行っている研究と関連する事業の経営を行うことができる点にあります。
高度専門職のビザは「法務大臣が指定する」とあるように、在留資格取得時に入管へ書類を提出して、所属機関を指定してもらいます(この書類提出により、「法務大臣が指定する本邦の公私の機関」となります)。
転職したら所属機関変更の届け出が義務とされていますが、高度専門職は所属機関の変更があったら、在留資格変更の手続きを行って、新しい所属機関を法務大臣に指定してもらう必要があります
この点については十分に注意してください。

高度専門職1号ロ(会社員・会社員を目指している方はこちら)

この在留資格は「技術・人文知識・国際業務」に似ていますが、国際業務については高度専門職1号ロの対象となっていないことに注意が必要です。
そして、最低年収要件があります(年収300万円以上)
「法務大臣が指定する本邦の公私の機関」との契約、つまりわかりやすく言い換えると、本店や支店などが日本国内にある企業などに雇用されている(業務委託契約などでも可)方が対象となります。
こちらの在留資格についても、高度専門職1号イと同様に、自ら事業の経営を行うことが可能です(スタートアップ企業を立ち上げる、など)。
大手企業の場合、若いうちから高年収になる場合が多いので、年齢と年収に関するポイント加算が期待できます。
高度専門職1号ロについても法務大臣の指定が必要ですので、転職の際には在留資格変更の手続きが必要です。
転職の際には注意してください。

高度専門職1号ハ(経営者・経営者を目指している方はこちら)

この在留資格は「経営・管理」ビザに近いものです。
こちらの在留資格も最低年収要件があります(年収300万円以上)
この在留資格も法務大臣の指定が必要ですので、経営する企業に変更があった場合は注意しなければなりません。

高度専門職2号(すでに高度専門職1号の方はこちら)

在留期間が「無期限」となる在留資格です。
「永住者」ビザに近い在留資格となりますので、変更にあたって永住者ビザと同じレベルの要件が課されます。
また、高度専門職1号(又は高度人材の「特別活動」)を持って日本に3年以上在留することも要件の一つとなっていますので、技人国ビザなどからいきなり高度専門職2号に変更できません。
就労ビザは就労できる仕事に制限があることが特徴ですが、高度専門職2号では就労に関する制限も大幅に緩和されます

詳しい要件については、出入国在留管理庁のサイトをご確認ください。

ポイント加算に関するTips

・日本語能力試験(JLPT)による加点
・保有している学位(修士や博士)での加点
・日本の大学や大学院を卒業したことに関する加点
・年収による加点(高ければ高いほど加点が大きい)
・年齢による加点(若ければ若いほど加点が大きい)

主にこれらの項目で加点を狙っていくことになります。
日本語学校に在学中の留学生は早めにJLPTでN1もしくはN2を取得しておくと、大きな加点の対象になります
働き始めると勉強する時間が取れなくなる可能性がありますので、留学生のうちからJLPTでN1(15点の加点)・N2(10点の加点)の取得をおすすめします。
研究者を目指す方は論文での加点があることに注目してください。
学術論文データベースに登録されている学術雑誌に掲載されている論文が3本以上ある場合、20点の加点がありますので、論文の執筆に力を入れると在留資格の点においても良い効果があります。
弁護士、司法書士、宅建士などの国家資格保有者も資格ひとつにつき5点の加点、二つで10点の加点があります。
もし現在会社員として働いている方で、業務に関係がある国家資格がありましたら、業務レベル向上も兼ねて国家資格へ挑戦してみるのもお勧めします。

在留期間の優遇措置

高度専門職1号は確定で在留期間が「5年」付与されます(5年ずつ更新)。
例えば「技術・人文知識・国際業務」の場合、在留期間が1年であることも少なくありません。
おそらくこれをお読みの在日外国人の皆様は「5年」の重みをよくご存じだと思います。
在留期間「5年」というのは、その方が日本政府からとても信頼されているという証です。
高度専門職の在留ビザを得るためには先ほど述べたとおり、ポイント表での計算で70点以上の加点が必要であり、在留期間も確定で「5年」となることから、高いハードルが設けられていると言えるでしょう。
高度専門職2号については在留期限の更新が無期限となります(ほぼ「永住」になります)。

その他の優遇措置

子育て期に親を呼び寄せることができる優遇措置

高い年収要件(世帯年収800万円以上)や親との同居要件がありますが、妊娠中の時期から子供が7歳になるまでの期間に、親を日本に呼び寄せることも可能です
日本人であれば近所に親が住んでいたりすると、どうしても仕事で子供のお迎えに行けなくなってしまった場合などに親に頼ることができます。
高度専門職の方が従事する仕事はかなりハードな仕事であることが想像できます。
私も上場企業に勤めておりましたので、求められる仕事・結果のハードさや自分が抜けてしまった場合の対処の大変さなどは身に染みて感じております。
ハードな労働を要求される中で夫婦二人だけで子育てをするのは、本当に大変で想像を絶することです。
そんな時に自分又は配偶者の親が日本に居てくれて、子育てに協力してくれるとしたら、こんなに心強いことはないでしょう。
子育ての大変さに日本も外国もありません。
高度専門職になれば子育ての協力者である親を呼べることを知らず、子育てを理由として優秀な外国人が祖国に帰ってしまうとなると、日本としても損失になります。
是非高度専門職にチャレンジしてください。

配偶者の就労に関する優遇措置

外国人同士で結婚している場合は配偶者の就労についても優遇措置があります。
高度専門職ビザで在留する人の配偶者が「技術・人文知識・国際業務」や「教育」に該当する仕事を行う場合に、学歴や職歴の要件を満たさなくても就労できるようになります。

家事使用人の帯同に関する優遇措置

家事使用人の帯同には高い年収要件が必要です(世帯年収1000万円以上)。
家事使用人の帯同については3種類の条件があります(下記(A)~(C))。

(A) 外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用する場合の条件(入国帯同型)
・高度外国人材の世帯年収が1,000万円以上あること
・帯同できる家事使用人は1名まで
・家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
・高度外国人材と共に本邦へ入国する場合は、帯同する家事使用人が本邦入国前に1年以上当該高度外国人材に雇用されていた者であること
・高度外国人材が先に本邦に入国する場合は、帯同する家事使用人が本邦入国前に1年以上当該高度外国人材に雇用され、かつ、当該高度外国人材が本邦へ入国後、引き続き当該高度外国人材又は当該高度外国人材が本邦入国前に同居していた親族に雇用されている者であること
・高度外国人材が本邦から出国する場合、共に出国することが予定されていること

(B) (A) 以外の家事使用人を雇用する場合(家庭事情型)
・高度外国人材の世帯年収が1,000万円以上あること
・帯同できる家事使用人は1名まで
・家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
・家庭の事情(申請の時点において、13歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者を有すること)が存在すること

(C) 投資運用業等に従事する金融人材が家事使用人を雇用する場合(金融人材型)
・金融人材の世帯年収が1,000万円以上あること
・帯同できる家事使用人は2名まで(ただし、2名の場合は、世帯年収が3,000万円以上の場合に限る。)
・家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること

高度専門職ビザの優位性

子育て期に親を呼び寄せることができる在留資格はこの高度専門職ビザしかありません
高度専門職ビザで日本に一定期間在留すれば永住者ビザの申請ができますが、子育て期の親の呼び寄せという1点において、永住者ビザではなく高度専門職ビザで在留を続けることは優位性があると思います。
子育て世代の方は是非高度専門職ビザに挑戦してください。
我々「行政書士いわさき事務所」が、子育て世代のあなたをサポートいたします。

在留資格申請に関するお問い合わせは行政書士いわさき事務所へ

高度専門職ビザへ変更をお考えの方は是非当事務所へご依頼ください。
必要書類の詳細などについて、打ち合わせをしながらお伝えしていきます。
まずは在留カードを拝見しながら、あなたの状況を聞き取りし、最適な申請方法をご提案いたします。

※初回面談(1時間)は無料。在留資格変更手続きに係る当事務所へのお支払いは、2022年12月時点で「11万円~(税込)」(あなたの状況により金額が変動します。最低金額は11万円です)となります。

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    五反田からも蒲田からもお越しいただきやすい立地です(五反田と蒲田を結ぶ東急池上線は、品川区~大田区の街中を3両編成で運行している、とても雰囲気がある路線ですので是非一度乗ってみてください)。
    また、ご依頼者様のご都合に合わせまして、当事務所へご足労いただく代わりに、当事務所代表が直接お話を伺いに行くことも可能です(相談料の外に出張費・交通費実費を頂戴いたします)。

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