はじめに
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者のデジタル化や生産性向上を後押しする重要な施策です。この補助金を活用することで、様々なITツールを低コストで導入できるだけでなく、業務効率化やセキュリティ強化といったメリットも得られます。本記事では、IT導入補助金の概要から具体的な対象製品、申請方法まで、知っておくべき情報をくわしく解説します。
IT導入補助金とは
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者を対象として、ITツールの導入を支援する国の補助金制度です。対象となるITツールは幅広く、営業管理システムから会計ソフト、生産管理システム、セキュリティ対策まで様々です。
補助金の種類
IT導入補助金には、以下の3つの枠組みがあります。
- 通常枠: バックオフィス業務に関連するシステムの導入費用の1/2が最大450万円まで補助されます。
- インボイス対応類型: インボイス制度対応のソフトウェア導入費用の3/4(小規模事業者は4/5)が最大50万円まで、2機能以上の場合は2/3が最大350万円まで補助されます。
- 電子取引類型: 発注者が無償でインボイス対応の電子取引ツールを提供する際の導入費用の一部が補助されます。
対象となる事業者
IT導入補助金の対象となるのは、従業員数が300人以下の中小企業や個人事業主などです。ただし、大企業が過半数を所有する中小企業や、課税所得が15億円を超える事業者は対象外となります。
申請には、GビズIDプライムの取得やSECURITY ACTIONの取得、賃上げ目標の策定などの準備が必要になります。
補助対象製品の例
補助金の対象となるITツールには、以下のようなものがあります。
- 会計ソフト「電帳.DX」
- 電子契約サービス「Shachihata Cloud 電子契約」
- 自動車部品向けの生産管理システム「Partsman.c Recycle+」
- 製造業向け基幹システム「機工メイトⅡ」
- クラウドサービス「Google Workspace」
業種に特化したシステムから汎用的なツールまで、幅広い製品が対象となっています。
申請手続きと留意点
IT導入補助金の申請には、事前の準備が重要です。具体的な手順や注意点を確認しましょう。
事前準備
補助金申請には、以下の準備が必須です。
- GビズIDプライムの取得
- みらデジ経営チェックの実施
- SECURITY ACTIONの取得
- 賃上げ目標の策定
特に賃上げ目標は、補助金交付の必須要件となっています。未達成の場合は補助金の全額返還が求められるため、注意が必要です。
申請スケジュール
IT導入補助金の申請受付は年間数回行われています。公募期間や締切日程など、公式サイトでスケジュールを確認しておきましょう。
補助金辞退の手続き
以下のような場合は、補助金の辞退手続きが必要になります。
- ITツールを解約・利用停止した場合
- 廃業・倒産・事業廃止・事業譲渡などにより補助事業を取りやめた場合
辞退した場合、既に交付された補助金の全額または一部を返還する必要があり、返還が遅れると加算金や延滞金が発生する可能性もあります。
業種別の補助対象製品
IT導入補助金の対象製品は業種によっても異なります。ここでは、自動車整備業や製造業向けの製品例を紹介します。
自動車整備業向け製品
自動車整備業やタイヤ販売業向けのITツールとして、いろいろなシステムが提供されています。これらのシステムには通常枠やインボイス枠といった様々なパッケージが用意されており、整備工場の規模や業務内容に合わせて選択できます。月額モデルのパックも提供されているため、初期投資を抑えつつ必要な機能を利用できます。
製造業向け製品
製造業向けでは、生産管理システムなどのITツールの導入が支援されています。
通常枠では、ソフトウェア購入費やクラウド利用料、導入関連費などが、補助金額5万円以上450万円以下、補助率1/2以内で補助されます。インボイス枠では、インボイス制度対応のソフトウェアやハードウェアの導入費用が対象で、より高い補助率が適用されます。
IT導入補助金の活用メリット
IT導入補助金を活用することで、中小企業・小規模事業者は様々なメリットを享受できます。
コスト削減効果
最大で導入費用の4/5が補助されるため、ITツール導入に伴うコストを大幅に削減できます。特に初期投資が大きいシステムの場合、補助金を活用することで負担が軽減されます。
生産性向上や業務効率化
ITツールの導入により、業務の自動化や無駄の削減が期待できます。単純作業から開放されることで、従業員の生産性が向上し、業務の効率化が図れます。
セキュリティ強化
補助対象のITツールには、セキュリティ対策ソフトウェアも含まれています。セキュリティ環境の強化によって、サイバー攻撃などのリスクを低減できるでしょう。
デジタル化の促進
IT導入補助金を活用することで、中小企業のデジタル化が後押しされます。ITツールの導入がきっかけとなり、業務のデジタルシフトが進むことが期待されます。
まとめ
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者のデジタル化と生産性向上を支援する重要な施策です。通常枠に加えて、インボイス制度対応のITツールを支援する新しい枠組みも設けられました。補助金の活用には事前準備が必要ですが、コストを大幅に抑えられるだけでなく、業務効率化やセキュリティ強化といったメリットも享受できます。今後のデジタル化をにらみ、IT導入補助金の積極的な活用が期待されます。
