永住者と特別永住者の違い – あなたが知らない制度の深層

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目次

はじめに

日本に居住する外国人にとって、永住者と特別永住者はよく知られた在留資格です。しかし、両者の違いについては正確に理解されていないことも多く、混同されがちです。本記事では、永住者と特別永住者の違いについて、法的根拠、申請手続き、審査基準、在留管理などの観点から詳しく解説します。それぞれの制度の内容を理解することで、外国人が日本での生活をよりスムーズに送れるようになるはずです。

法的根拠

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永住者と特別永住者は、異なる法律に基づいて定められた在留資格です。

永住者の法的根拠

永住者の在留資格は、「出入国管理及び難民認定法」に基づいて定められています。この法律は、外国人の入国と在留に関するさまざまな規定を定めた基本法です。永住者は、この法律に基づき審査され、一定の要件を満たした場合に永住が認められます。

永住者の要件として、「素行が善良であること」「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」などが挙げられています。つまり、日本社会に貢献し、自立して生活できる外国人に永住が許可される仕組みとなっています。

特別永住者の法的根拠

一方、特別永住者の在留資格は、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱したもの等の出入国管理に関する特例法」に基づいて定められています。この法律は、第二次世界大戦後に日本国籍を離脱した朝鮮半島や台湾出身の人々などについて、特例的に在留を認める制度を設けたものです。

特別永住者は、日本での居住年数や生活能力などの審査基準が永住者よりも緩やかになっています。また、特別永住者の配偶者や子供についても、日本に住み続ける権利が保障されています。このように、歴史的経緯を踏まえた特別な制度となっているのが大きな特徴です。

申請手続き

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永住者と特別永住者では、申請の窓口や必要書類など、手続きの面でもいくつかの違いがあります。

永住者の申請手続き

永住者の申請は、出入国在留管理局で行います。申請には以下の書類が必要となります。

  • 永住許可申請書
  • 写真
  • 在留カード又は旅券(パスポート)
  • 資産や職歴などを証明する書類

永住許可に際しては、上記の書類に加えて面接が行われ、申請者の人柄や資産状況、日本語能力など様々な点が審査されます。審査を経て永住が許可されると、永住者向けの在留カードが交付されます。

特別永住者の申請手続き

特別永住者の申請は、居住地の市区町村の窓口で行います。申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 特別永住者証明書交付申請書
  • 写真
  • 戸籍謄本や出生証明書など、本人確認資料

申請者が条件を満たしていれば、比較的簡単に特別永住者の資格を得ることができます。許可が下りると、特別永住者証明書が交付されます。この証明書には、常時携帯する義務はありません。

審査基準

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永住者と特別永住者の最も大きな違いは、審査基準の違いにあります。永住者には一定の厳格な要件が課されるのに対し、特別永住者はそうした要件が緩和されています。

永住者の審査基準

永住者の審査基準は、「出入国管理及び難民認定法」に定められています。主な要件は以下の通りです。

  • 日本に10年以上継続して在留していること
  • 素行が善良であること
  • 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  • 日本国の利益に合うと認められること

つまり、長期間日本に在住し、犯罪歴がなく、経済的にも自立していることなどが求められます。審査は非常に厳格に行われ、永住者の資格取得は容易ではありません。

特別永住者の審査基準

一方、特別永住者の場合は上記のような厳格な要件はありません。対象は以下のような人々です。

  • 第二次世界大戦中に日本の占領下で日本国民とされた在日韓国人・朝鮮人・台湾人
  • 上記の人々の子孫

つまり、歴史的経緯により日本に居住していた人々とその子孫が特別永住者の対象となるのです。生活能力や犯罪歴は問われず、日本での居住が優先されています。このように、特別永住者の審査要件は永住者に比べて緩やかになっています。

在留管理

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永住者と特別永住者は、在留カードや雇用状況届の扱い、再入国手続きなどの点で違いがあります。

在留カードと携帯義務

永住者には在留カードが交付され、16歳以上の者は常時携帯することが義務付けられています。一方、特別永住者には在留カードの代わりに「特別永住者証明書」が交付されますが、これを常時携帯する義務はありません。

在留カードや特別永住者証明書は、外国人の身元を確認するための重要な書類です。取り扱いの違いはあれ、いずれも大切に管理する必要があります。

外国人雇用状況届

事業主が外国人を雇用する際、永住者の場合は「外国人雇用状況届出書」の提出が義務付けられています。これにより、外国人の在留状況の把握や適正な雇用管理が行われます。

しかし、特別永住者の場合は届出の対象外となっています。そのため、事業主は特別永住者を雇用する際に、届出手続きは不要となります。

再入国手続き

永住者が一時的に国外に出る際は、再入国許可の手続きが必要です。許可なく長期間日本を離れると、永住者の資格を失う可能性があります。

一方で、特別永住者の場合は再入国許可手続きは不要です。ただし、長期間日本を離れすぎると、特別永住者の資格を失うリスクがあるため注意が必要です。

まとめ

永住者と特別永住者は、それぞれ異なった制度に基づいて定められた在留資格です。永住者は一般的な外国人が審査を経て取得する資格であるのに対し、特別永住者は歴史的経緯から一定の外国人に与えられた特別な資格です。

両者には法的根拠、申請手続き、審査基準、在留管理の面で様々な違いがあります。外国人が日本での生活をスムーズに送るためには、こうした違いを正しく理解しておくことが重要です。本稿で解説した内容を参考に、永住者と特別永住者の制度について理解を深めていただければ幸いです。

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