はじめに
近年、日本企業は国際競争力の向上や技術革新の促進のため、優秀な外国人材の確保が重要な課題となっています。そこで注目されているのが、高度専門職の在留資格制度です。本日は、この制度の概要や申請条件、優遇措置などについて詳しく解説していきます。
高度専門職制度とは
高度専門職とは、高度の専門性や優れた能力を有する外国人材が日本で就労できる在留資格のことです。この制度は、魅力ある環境を提供することで優秀な人材を呼び込み、日本の産業や経済の活性化を図ることを目的としています。
ポイント制による審査
高度専門職の認定には、「高度人材ポイント制」が導入されています。申請者の学歴、職歴、年収、年齢、研究実績などの項目に応じてポイントが付与され、合計が70点以上の場合に高度専門職として認められます。
例えば、外国の大学で修士号を取得し、専門職で10年以上の経験があり、年収が600万円超の場合はポイントが高くなります。一方、日本語能力が高く、日本の大学を卒業している場合も加点対象となります。
高度専門職の種類
高度専門職には、「高度専門職1号」と「高度専門職2号」の2種類があります。
- 高度専門職1号: 研究活動、専門的技術活動、経営・管理活動が認められる在留資格
- 高度専門職2号: 1号よりも幅広い活動が認められ、在留期間も無期限となる在留資格
優遇措置
高度専門職には、様々な優遇措置が設けられています。具体的には以下のようなものがあります。
- 永住許可要件の緩和
- 配偶者の就労許可
- 親や家事使用人の帯同許可
- 最長5年の在留期間付与
- 入国・在留審査の優先処理
このように、高度専門職の在留資格を取得すれば、日本での生活環境が大きく改善されます。
高度専門職の申請条件
高度専門職の申請条件は、在留資格の種類によって異なります。ここでは、代表的な条件をいくつか紹介します。
高度専門職1号(イ)「研究活動」
- 自然科学又は人文科学の分野に属する学術上の資質を有する活動
- 大学の教授、准教授、講師、助教、研究員などが該当
高度専門職1号(ロ)「専門的技術活動」
- 自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする活動
- 10年以上の実務経験と同等以上の報酬が必要
- 外国企業の駐在員、技術者、コンサルタントなどが該当
高度専門職1号(ハ)「経営・管理活動」
- 事業の経営又は管理に係る活動
- 企業の役員や管理職などが該当
このように、高度専門職の申請条件は活動内容によって異なるため、詳細は事前に確認する必要があります。
高度専門職取得のメリット
高度専門職の在留資格を取得することで、外国人材は様々なメリットを享受できます。
長期の在留が可能
高度専門職の在留期間は最長5年と長期にわたります。また、一定の条件を満たせば永住権の取得も可能です。つまり、高度専門職の在留資格があれば、長期的に日本で活躍できる環境が整っているのです。
これにより、転職や昇進、起業など、様々なキャリアプランを描くことができます。
家族の帯同が認められる
高度専門職では、一定の条件の下で配偶者や親、家事使用人の帯同が認められています。つまり、単身での赴任ではなく、家族と一緒に日本で生活することが可能です。
家族の支援体制が整うことで、ストレスなく仕事に専念できるメリットがあります。
手続きが優先的に処理
高度専門職に関する入国・在留手続きは、優先的に処理されます。つまり、一般の就労ビザに比べて早期に手続きが完了するため、スムーズに日本での活動を開始できます。
企業側も、優秀な外国人材を素早く受け入れることが可能になります。
高度専門職を活用する企業側のメリット
高度専門職制度は、外国人材にとってだけでなく、企業側にもメリットがあります。
優秀な人材の確保
高度専門職の制度を活用することで、専門性の高い優秀な外国人材を確保できます。特に技術革新が求められる分野では、外国人材の活用が不可欠です。
高度人材の受け入れにより、企業の競争力向上や新たなイノベーションの創出が期待できます。
手続きの効率化
高度専門職に関する手続きは優先的に処理されるため、外国人材の受け入れに要する期間を大幅に短縮できます。また、優遇措置が多いことから、従業員の満足度も高まります。
このように、高度専門職制度を活用することで、外国人材の確保と定着が容易になります。
高度人材のスキルを活用
高度専門職の対象者は、高度な専門性やスキルを有しています。こうした人材を積極的に登用することで、企業の技術力や付加価値の向上が見込めます。
例えば、優れた研究開発力を持つ外国人研究者を確保すれば、新製品の開発やイノベーションの創出に つながります。
まとめ
高度専門職は、優秀な外国人材を日本に呼び込むための重要な制度です。ポイント制による公平な審査と、永住権取得の要件緩和や家族帯同の許可など、様々な優遇措置が用意されています。
この制度を活用することで、外国人材は日本での長期的なキャリア形成が可能になります。一方、企業側も国際競争力の向上や技術革新の促進が期待できます。優秀な外国人材の確保は、日本の発展にとって極めて重要な課題です。高度専門職制度は、その解決策の1つといえるでしょう。
