民泊新時代!?旅館業法に抵触しないための完全ガイド

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目次

はじめに

ここ数年、民泊サービスが注目を集めています。民泊は個人の空き家や空き部屋を活用して宿泊サービスを提供することで、消費者にとっては新しい宿泊スタイルを、提供者にとっては新たな収入源を生み出す魅力的なビジネスモデルです。しかし、民泊を取り巻く法的環境は複雑で、旅館業法など様々な法律との関係を正しく理解する必要があります。本記事では民泊と旅館業法との関係について、具体的な制度やルールを解説していきます。

旅館業法と民泊の関係

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民泊を行う際に最も重要なのが旅館業法との関係です。旅館業法は宿泊施設の運営を規制する法律で、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」には、原則として旅館業法に基づく許可が必要となります。つまり、個人が空き家や空き部屋を活用して不特定多数の人に宿泊サービスを提供し、宿泊料を徴収する民泊は、旅館業法の対象になる可能性が高いのです。

民泊は旅館業法上の「営業」に該当するのか

旅館業法上の「営業」に該当するかどうかは、民泊が継続的・反復的に行われているかどうかで判断されます。たとえば、自宅の一部を不特定多数の人に開放し、宿泊料を徴収している場合は「営業」に該当すると見なされる可能性が高くなります。一方、個人的な付き合いの範囲で知人・友人を無償で宿泊させる場合は「営業」には該当しないとされています。

インターネット上で広く宿泊者を募集し、宿泊料を受け取る場合も基本的に「営業」に該当すると考えられます。民泊が継続的・反復的に行われているかを示す具体的な基準は明確ではありませんが、インターネット広告などホスト側の営利目的が明らかな場合には、「営業」と判断される公算が大きくなるでしょう。

旅館業法の許可が必要な民泊の範囲

旅館業法が適用される民泊の範囲は広範です。営利目的がなくとも、不特定多数の人に対して宿泊施設を提供し宿泊料を徴収する場合は、旅館業法の対象となる可能性が高くなります。また、一時的な民泊であっても、反復継続して行われる場合は「営業」に該当し、旅館業法の許可が必要となります。

一方、親族のみを宿泊させる場合や、知人・友人に無償で宿泊させる範囲であれば、「社会性をもって継続反復されているもの」とは見なされず、旅館業法の適用はありません。まとまった日数の宿泊を希望する場合でも、それが知人・友人の範囲内であれば、旅館業法は適用されません。

違反への罰則

旅館業法に違反して無許可で民泊営業を行うと、罰則の対象となります。違反者に対しては6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。さらに、旅館業法違反は風俗環境浄化法にも抵触するため、罰則が重くなる場合があります。

一方で、民泊が旅館業法違反に当たるかは個別に判断されますが、インターネット上で広く募集し、不特定多数の人を宿泊させている場合は、基本的に違法とみなされる可能性が高いと考えられます。罰則のリスクを避けるためにも、民泊の実施に当たっては旅館業法の規定を十分に確認しましょう。

簡易宿所営業の許可取得

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旅館業法は、民泊のようなビジネスに必要な許可の制度を定めています。一般に民泊で最も関係が深いのが「簡易宿所営業」の許可です。簡易宿所営業とは、簡易な設備で営む小規模な宿泊営業のことです。簡易宿所営業の許可を取得すれば、合法的に民泊ビジネスを行えます。

簡易宿所営業とは

簡易宿所営業は、簡易な構造設備で営む旅館業をいいます。建物設備などの基準は比較的緩やかで、居室数が10室未満、宿泊者数が20人未満などの要件があります。一般家庭の一部を利用した小規模な民泊にはこの簡易宿所営業が適しており、旅館業許可の中でも最も取得しやすいタイプとされています。

一方、簡易宿所営業でも一定の基準を満たす必要があります。防火設備や給排水・換気設備などの衛生面の確保は必須で、建築基準法の用途制限などにも抵触しないようにしなければなりません。また、施設の構造設備が法に定められた技術基準に適合していることが条件になっています。

許可申請手続き

簡易宿所営業の許可を得るには、施設の所在する都道府県や政令指定都市の保健所に申請を行う必要があります。申請に必要な書類は、申請書の他に建物の構造設備に関する図面、給排水設備の概要書、防火設備の説明書など多岐にわたります。

申請受理後、保健所による現地調査が実施され、施設が法の基準に適合しているかが確認されます。適合している場合に限り許可が下りますが、補修や改修が必要な場合はその指示に従わなければなりません。許可の有効期限は最長で5年間で、5年ごとに更新が必要です。

許可取得のメリット・デメリット

簡易宿所営業の許可を取得すれば、民泊を合法的に営むことができます。営業期間に制限がないため、効率的な運営が可能になります。一方で、立ち入り検査があり、法令遵守が厳しく求められるデメリットもあります。

自家周辺への迷惑行為が無いよう、宿泊者の管理には十分気をつける必要があります。また、施設の構造や設備が基準を満たすよう、初期投資にある程度の費用がかかる可能性もあります。経営規模や事業計画に合わせ、メリット・デメリットを勘案したうえで許可取得を検討しましょう。

国家戦略特別区域・民泊新法

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旅館業法による規制の一方で、国を挙げて民泊の普及促進に取り組む動きもあります。旅行者の受け入れ環境を整備する狙いから、国家戦略特別区域における規制緩和や、新たに民泊新法(住宅宿泊事業法)が制定されるなどの動きがみられます。

国家戦略特別区域と特区民泊

国家戦略特別区域とは、産業の国際競争力の強化や国際的な経済活動拠点の形成等を目的として、規制改革を集中的に行う区域のことです。一部地域においては旅館業法による規制が緩和され、簡易な届出で民泊を実施できる「特区民泊」が認められています。

特区民泊の主な特徴は以下の通りです。

– 旅館業の許可は不要、届出のみで開業可能
– 宿泊日数の制限はないが、2泊3日以上の長期滞在が条件
– 簡易な構造設備基準を満たせば開業可能
– 地域により民泊の受入環境が異なる

特区民泊の多くは地方都市や観光地を中心に導入されており、インバウンド需要の取り込みを目的としています。地域の実情に合わせた規制緩和と、民泊の活性化を両立させる取り組みが行われています。

住宅宿泊事業法(民泊新法)の概要

2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法」は、従来の旅館業法とは別に民泊の事業環境を整備した法律です。家主居住型と家主不在型の2種類の民泊スタイルを設け、最大180日の年間営業期間と様々な規制を設けています。

主な規制内容は以下の通りです。

– 住宅宿泊事業者(家主)への届出義務
– 年間180日を超える宿泊提供の禁止
– 家主不在型の場合、住宅宿泊管理業者に委託義務
– 住宅宿泊管理業者・仲介業者の登録制度
– 防火対策や騒音対策などの義務化

この法整備により、従来のグレーゾーンにあった個人の民泊に一定のルールが設けられました。一方で家主が居住せずに専用の民泊施設を運営する場合は、依然として旅館業許可が求められる点に注意が必要です。

マンションでの民泊

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民泊を行う際の大きな懸念点の一つが、マンションなどの集合住宅での実施です。特にマンションの専有部に民泊施設を開設する場合は、様々なハードルがあります。分譲管理組合の判断が民泊実施への大きな可否を分けます。

分譲マンションの管理規約

分譲マンションでの民泊実施の是非は、まず当該マンションの管理規約をチェックすることから始まります。規約に民泊業の実施を明示的に制限する規定があれば、各戸で民泊を行うことはできません。

管理規約がない場合や不明確な場合は、分譲管理組合に確認する必要があります。多数の組合員が民泊に反対すれば実施は難しくなりますが、一定のルール作りと理解を得られれば民泊への同意を取り付ける可能性があります。総会決議による規約改正なども選択肢になるでしょう。

近隣トラブルへの配慮

マンションでの民泊では、近隣トラブルが最大の懸念事項になります。マンションは狭い空間に多くの住民が集まるため、防音対策が不十分だと宿泊者の生活音が近隣への迷惑になりかねません。

ルール作りの際は、宿泊者へのマナー教育や手厚いサポート体制の確立、共用部分の利用ルールの設定などが必要不可欠です。さらに定期的な近隣説明会や協議を設け、民泊に対する理解を深めることも重要なプロセスとなります。

法的リスクと対応策

マンションにおける民泊実施は、法的リスクも少なくありません。旅館業法違反のリスクに加え、建物利用の用途違反や近隣住民からの損害賠償請求などの可能性も否定できません。

事前に弁護士に相談し、法的リスクの有無や対処法を確認することが賢明です。条件によっては旅館業法の許可を取得することで合法性を担保する方法もあるでしょう。いずれにしても事前の十分な対策が重要となります。

まとめ

民泊は、消費者や提供者の双方にメリットのあるビジネスモデルですが、旅館業法をはじめとする様々な法的規制と無関係ではありません。民泊を行うためには、条件に応じて旅館業許可の取得やその他の届出が必要になる可能性がある点に留意が必要です。

一方で、民泊に対する法的環境は整備が進められており、国家戦略特区や民泊新法の施行により、合法的に民泊を実施しやすい地域や仕組みが整いつつあります。法整備の動きと並行して、民泊に関する社会的理解も進んでいます。

民泊の可能性は大き広がりを見せていますが、地域コミュニティへの配慮は欠かせません。合法性とルール遵守を徹底しつつ、地域住民との十分な対話と調整を行うことで、トラブル回避と民泊の健全な発展を実現できるはずです。

当事務所では民泊申請代行サービスの専門家が在籍しています。民泊運営をご検討中の方は下記フォームからお気軽にお問い合わせください。

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