はじめに
東京都心に位置する墨田区は、アクセス良好な立地と歴史ある町並みが魅力的な観光地です。近年では、宿泊施設の選択肢が広がり、民泊も人気を集めています。本日は、墨田区における民泊事業の概要や留意点、最新の動向などについて、詳しく解説していきます。
民泊事業の概要
民泊事業とは、住宅を活用して宿泊サービスを提供する事業形態です。2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法」により、事業者の適正な運営が確保されました。
墨田区における民泊の届出
墨田区では、住宅宿泊事業を営む場合、あらかじめ区への届出が必要です。宿泊日数の上限は年間180日となっており、令和6年7月1日以降の届出には、すみだ清掃事務所への事前相談が義務付けられています。届出後は、民泊制度運営システムを利用するか、定期報告書を提出する必要があります。
また、届出事項の変更や事業の廃止の際にも、所定の手続きが求められます。
事業者の義務
墨田区では、事業者に対して以下の義務が課されています。
- 宿泊者の衛生・安全の確保
- 外国人旅客の快適性・利便性の確保（多言語での説明提供など）
- 宿泊者名簿の備え付け
- 周辺地域への悪影響防止
- 苦情への迅速かつ誠実な対応
- 住宅宿泊管理業務の委託
これらの義務を怠ると、旅館業法の無許可営業として罰則の対象となる可能性があります。
区の取り組み
墨田区では、届け出住宅の標識確認や事業者への指導を行い、民泊の適正な運営を確保しています。国家戦略特区の民泊の認定は行っていませんが、空家の有効活用や外国人観光客の受け皿として、民泊を検討している方は保健所生活衛生課に相談できます。
墨田区民泊のメリット
墨田区は、民泊新法を順守していれば、他の区と比較して民泊を始めやすいエリアです。
規制が緩やか
墨田区には、上乗せルールがないため、常駐義務やフロント設置の義務がありません。駆けつけ要件も徒歩10分以内と緩やかです。また、キーボックス以外の鍵渡しも可能です。
立地の良さ
墨田区は東京の中心部に近く、浅草や東京スカイツリーといった観光スポットへのアクセスに優れています。外国人観光客にも人気の高いロケーションです。
以下は、墨田区八広駅周辺で民泊運用を検討した際の想定収支の一例です。
| 収入 | ¥7,584,000 |
|---|---|
| 費用 | ¥3,689,200 |
| 利益 | ¥3,894,800 |
民泊開業時の留意点
民泊事業を開業する際は、以下の点に留意する必要があります。
条例の確認
民泊物件を探す際は、事前に条例を確認することが重要です。行政書士に相談し、許可取得の可能性を事前に確認することをおすすめします。
手続きの難易度
旅館業の許可取得は個人では難しいため、民泊新法に基づいて自身で届出を行うことが現実的な選択肢となります。ただし、平日の日中に手続きを行える方でなければ、許可取得は厳しい可能性があります。
災害時の対応
墨田区と民泊の仲介サイト「エアビーアンドビー」は、災害時に民泊の部屋を被災者の受け入れ場所として活用する協定を結んでいます。災害に備えた対応が求められます。
最新の民泊動向
民泊事業を取り巻く環境は、常に変化しています。
規制緩和の動き
改正建築基準法の施行により、一定の要件を満たせば、旅館業への用途変更が容認されるなど、民泊事業に関する規制が緩和されつつあります。
仲介サイトの対応
住宅宿泊事業法の施行により、違法民泊の掲載が大手仲介サイトから削除されるなど、民泊事業を取り巻く環境が大きく変化しています。
専門家のサポート
当事務所では、民泊事業の開設から消防設備、リフォーム、管理業務まで、幅広いサポートを行っております。墨田区における民泊事業の最新動向について、ぜひご相談ください。
まとめ
墨田区は、民泊事業を営むにあたり、比較的規制が緩やかで、立地の良さからゲストの集客がしやすいエリアです。一方で、届出義務や事業者の義務など、遵守すべき点も多くあります。最新の動向を注視しつつ、専門家のサポートを活用することで、スムーズな事業運営が可能となるでしょう。
