はじめに
近年、空き家の増加が社会問題となっています。一方で、インバウンド需要の高まりによって民泊サービスが注目を集めており、空き家を民泊として活用する動きが広がっています。しかし、民泊運営には様々な費用がかかることから、事前に十分な検討が必要不可欠です。本記事では、空き家を民泊として活用する際の費用について、詳しく解説していきます。
初期費用
まず、空き家を民泊として活用するには、物件の購入やリフォーム、消防設備の設置などに多額の初期費用がかかります。
物件購入費用
空き家を民泊として利用する場合、まず物件を購入する必要があります。購入費用は物件の広さや立地条件によって大きく異なりますが、平均すると200万円前後が目安となります。立地がよく、広めの物件を選ぶ場合は、500万円以上の購入費用が見込まれます。
一方で、手頃な価格の古い一戸建てを選ぶことで、100万円程度で物件を手に入れられる可能性もあります。ただし、その場合はリフォーム費用が嵩むため、トータルコストを見極める必要があります。
リフォーム費用
次に、民泊として運営するためのリフォームが必要となります。リフォーム費用は300万円前後が一般的な目安ですが、物件の状態によって大きく変わってきます。
古い住宅を民泊に転用する場合は、水回りの全面的な交換や内装の一新など、大規模な工事が必要となり、500万円以上のリフォーム費用がかかることもあります。一方、比較的新しい物件であれば、内装の一部変更程度で済むため、100万円前後の費用で収まる可能性もあります。
消防設備設置費用
民泊の営業には、消防法に基づく設備の設置が義務付けられています。この消防設備設置費用は、30,000円から100万円程度と幅があります。
小規模な物件であれば、住宅用火災警報器の設置で済むため、3万円程度の費用で収まります。しかし、大規模な物件の場合は、スプリンクラー設備の設置が必要となり、100万円を超える費用がかかることもあります。
| 費用項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 物件購入費用 | 200万円前後 |
| リフォーム費用 | 300万円前後 |
| 消防設備設置費用 | 3万円~100万円 |
運営費用
民泊の運営には、住宅宿泊管理業者への委託費用や清掃費用、ライフライン費用などの運営費用がかかります。
住宅宿泊管理業者への委託費用
空き家を民泊として運営する場合、住宅宿泊管理業者への委託が義務付けられています。この委託費用は、通常、月間収益の10%程度が目安となります。
例えば、月間収益が50万円の場合、5万円の委託費用がかかることになります。ただし、一部の業務のみを委託すれば、月額1万円程度に抑えられる可能性もあります。
清掃費用
民泊の運営には、宿泊客の入れ替わり時の清掃が欠かせません。この清掃費用は、1件あたり3,000円から5,000円程度が相場です。
清掃業務を自分で行えば、この費用は発生しませんが、時間的な負担が大きくなります。料金は高めですが、業者に清掃を委託することで、手間を大幅に省くことができます。
ライフライン費用
民泊の運営には、光熱費や通信費など、ライフライン費用も必要となります。目安として、月額1万円から3万円程度が見込まれます。
ただし、この費用は宿泊者数によって大きく変わってきます。繁忙期は費用が嵩む一方、閑散期は抑えられるため、年間を通して平準化する必要があります。
| 費用項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 住宅宿泊管理業者への委託費用 | 月間収益の10%程度 |
| 清掃費用 | 1件3,000円~5,000円 |
| ライフライン費用 | 月額1万円~3万円 |
その他の費用
民泊運営には、初期費用や運営費用以外にも、様々な費用がかかります。
予約サイト利用手数料
民泊の予約は、Airbnbなどの予約サイトを利用することが一般的です。利用する際には、3%から5%程度の利用手数料がかかります。
手数料率は予約サイトによって異なるため、複数の予約サイトを利用することで、手数料の抑制が可能です。ただし、予約管理の手間が増えるデメリットもあります。
Webサイト作成費用
民泊の集客には、自社サイトの開設が有効な手段の1つです。Webサイトの作成費用は、10万円から30万円程度が見込まれます。
サイトの機能によって費用は大きく変わってきますが、簡易的なものであれば、10万円程度で済む可能性もあります。ただし、予約機能を付加する場合は、別途費用がかかります。
SNSマーケティング費用
近年、民泊の集客においてもSNSマーケティングが欠かせなくなっています。投稿の外注費用や広告費用など、月額数万円程度のコストが見込まれます。
SNSでの情報発信は、集客に大きな効果が期待できる一方で、継続的な費用負担が必要となります。投資対効果を考慮し、適切な予算配分が重要です。
修繕費用
民泊を運営する上で、定期的な修繕が必要となります。年間10万円から30万円程度の修繕費用が見込まれます。
修繕の内容や頻度は施設の規模によって異なりますが、毎年一定額を積み立てておく必要があります。修繕費用の蓄積を怠ると、突発的な大規模修繕に備えられなくなる恐れがあります。
| 費用項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 予約サイト利用手数料 | 3%~5% |
| Webサイト作成費用 | 10万円~30万円 |
| SNSマーケティング費用 | 月額数万円程度 |
| 修繕費用 | 年間10万円~30万円程度 |
まとめ
空き家を民泊として活用するには、様々な費用がかかることがわかりました。初期費用としては、物件の購入費用、リフォーム費用、消防設備設置費用などが見込まれ、総額で数百万円から1,000万円以上の費用がかかる可能性があります。
さらに、運営費用としては、住宅宿泊管理業者への委託費用、清掃費用、ライフライン費用などが発生します。加えて、予約サイト利用手数料、Webサイト作成費用、SNSマーケティング費用、修繕費用などの費用も必要となります。
このように、民泊の運営には多額の費用が伴いますが、一方で、空き家を有効活用することで収益を得られる可能性もあります。民泊事業を始める際は、これらの費用を見越した上で、慎重な収支計画を立てることが欠かせません。自身の事情に合わせて賢明な投資判断を行い、空き家の新たな活用方法を模索していきましょう。
