【完全ガイド】宿泊業許可取得のすべて!旅館・ホテル経営の第一歩

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目次

はじめに

宿泊業を営もうとする際には、旅館業法に基づく許可が必要不可欠です。この法律は、旅館業の健全な発達と利用者の安全・利便性の確保を目的としています。本稿では、旅館業許可に関する様々な側面を詳しく解説します。

旅館業許可の種類

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旅館業には大きく分けて3つの種類があります。それぞれの概要は以下の通りです。

旅館・ホテル営業

主に旅館やホテルを指し、一定の構造設備基準を満たす宿泊施設への許可が必要です。例えば、客室の面積や換気・照明設備、入浴設備などの要件があります。

2018年6月から旅館営業とホテル営業が統合され、「旅館・ホテル営業」となりました。この変更により、旅館とホテルの区別がなくなり、同一の基準で扱われるようになりました。

簡易宿所営業

主に安価な宿泊施設を指し、旅館・ホテル営業よりも緩やかな構造設備基準が設けられています。2016年の基準緩和により、小規模な民泊サービスへの適用が容易になりました。

簡易宿所営業の大きな特徴は、一度に宿泊できる最大人数が10人未満に制限されていることです。また、客室の広さや設備面での基準も旅館・ホテルよりも簡素化されています。

下宿営業

長期の宿泊を前提とした営業形態です。個室の確保が義務付けられているほか、共同の居住室や炊事設備なども基準の対象となります。

下宿営業の許可を得るには、個室の面積や換気・採光設備、トイレ・洗面設備に関する基準を満たす必要があります。また、長期宿泊者への対応として、清掃や寝具の衛生管理が特に重視されています。

旅館業許可の取得手順

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旅館業の許可を取得するための一般的な手順は次のとおりです。

事前相談

保健所など所管行政機関に事前相談することが重要です。必要書類や許可基準、関連する法令について確認できます。また、施設の立地場所の確認や、施設計画の公開手続きについても指導を受けられます。

事前相談の際には、施設の平面図や申請予定者の身元情報、事業計画概要などの資料を用意することをおすすめします。詳細な事前協議を経ることで、本申請がスムーズに進められます。

申請書類の準備

次に、申請に必要な書類を準備する必要があります。主な必要書類は以下の通りです。

  • 旅館業営業許可申請書
  • 施設の構造設備に関する平面図や立面図
  • 申請者の住民票や登記事項証明書
  • 土地や建物の権原を示す書類
  • 消防法令適合通知書や建築確認済証の写し
  • 標識設置や住民説明会の実施証明書類(一部地域で必須)

申請と審査

書類を整えた後、管轄の保健所や区の衛生課に申請書を提出します。提出時に審査手数料(2万円程度が一般的)の納付が必要です。

提出後は施設の実地検査が行われ、構造設備基準などの適合性が確認されます。審査に合格すれば、営業許可証が交付されます。標準的な処理期間は1ヶ月程度ですが、自治体により異なります。

営業許可取得後の義務

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営業許可を取得した後も、旅館業者には様々な義務が課されています。

変更届出義務

営業許可の内容に変更があった場合、10日以内に変更届を提出する必要があります。主な変更事項は以下の通りです。

  • 営業者の氏名や住所の変更
  • 施設の名称の変更
  • 増改築による客室数や構造の変更
  • 営業の休止や再開

また、相続や事業譲渡などで営業者が変更になる場合は、新たに営業者地位承継承認申請を行う必要があります。

衛生管理義務

宿泊施設の衛生管理も重要な義務です。宿泊者名簿の作成・保管、寝具の衛生的な取り扱い、施設の清潔な維持管理などが求められます。

特に浴室の衛生管理が重視され、循環式の温浴施設を設置する場合は、定期的に維持管理状況報告書の提出が義務付けられています。

サービス提供義務

旅館業者は、適切なサービスを提供する責任があります。高齢者や障害者など、配慮が必要な利用客に対しても、快適に宿泊できる環境を整備する必要があります。

一部地域では、従業員に対する研修の実施が義務付けられています。宿泊者のニーズを理解し、適切な対応ができる人材の確保が求められます。

まとめ

旅館業を営むには、旅館業法に基づく許可が必須です。申請から許可取得まで、一定の手続きを経る必要があります。許可取得後も、法令順守と衛生管理、適切なサービス提供が求められます。

旅館業の健全な発達と利用者の利便性向上のため、これらの規制は重要な役割を担っています。法令を遵守し、宿泊者の安全と快適性を常に意識した営業を心がける必要があります。

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