はじめに
民泊事業を始めるには、さまざまな手続きと費用がかかります。申請の種類によって必要な書類や費用は異なり、自治体ごとにも違いがあるため、事前の準備が重要です。本記事では、民泊を始める際の申請費用について詳しく解説します。
民泊新法による申請
2018年に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づき、届出を行うことで民泊事業を始められます。
住宅宿泊事業届出
民泊新法に基づく民泊を始めるには、住宅宿泊事業の届出が必要です。届出には以下の費用がかかります。
- 届出手数料: 約9万円
- 標準報酬: 約15万円
- 合計: 約24万円
物件数が多い場合や継続的な取引の場合には割引価格があります。また、行政書士に依頼すると、手続きがスムーズに進められます。
住宅宿泊管理業登録申請
民泊新法では、住宅宿泊管理業の登録が義務付けられています。登録申請には以下の費用がかかります。
- 申請手数料: 約9万円
- 標準報酬: 約15万円
- 合計: 約24万円
住宅宿泊事業届出と同様に、物件数が多い場合や継続的な取引の場合には割引価格があります。登録を行うことで、適切な管理体制を整えることが求められます。
簡易宿所(ゲストハウス)の許可申請
民泊新法に該当しない場合は、旅館業法に基づき簡易宿所(ゲストハウス)の営業許可が必要になります。
事前調査
簡易宿所の営業許可申請に先立ち、事前調査が必要です。事前調査には以下の費用がかかります。
- 費用: 約5万円
事前調査では、現地調査や法令調査、官公署との協議などが行われます。簡易宿所の開業可能性を確認するための重要な手続きです。
本申請
事前調査の結果、開業が可能と判断された場合は、本申請を行います。本申請には以下の費用がかかります。
- 費用: 約40万円
また、自治体によっては手数料が別途必要になる場合があります。例えば、東京都では16,500円、大阪府では22,000円の手数料がかかります。
その他の費用
簡易宿所の営業許可取得には、さまざまな費用が発生します。例えば、以下のような費用が必要になる場合があります。
- 公衆浴場や飲食物提供施設を設置する場合の費用
- 廃止(停止)届の費用: 1万5千円~
- 顧問料: 月額3万円~
これらの費用は、自治体や施設の内容によって異なります。適切な準備と見積もりが重要です。
特区民泊の申請
国家戦略特別区域内で民泊を行う場合は、特区民泊の申請が必要になります。
大田区の場合
東京都大田区で特区民泊の申請を行う場合の費用は以下の通りです。
- 手数料: 20,500円
- 標準報酬: 30万円
- 合計: 320,500円
特区民泊では、消防設備の基準が緩和されているため、通常の民泊に比べて費用を抑えられる可能性があります。
大阪市の場合
大阪市で特区民泊の申請を行う場合の費用は以下の通りです。
- 手数料: 21,200円
- 標準報酬: 25万円
- 合計: 271,200円
自治体によって費用が異なるため、事前に確認することが重要です。
準備と注意点
民泊を始める際には、さまざまな準備と注意点があります。
初期費用
民泊を始める際の初期費用は50万円~100万円ほどかかると見積もられています。この費用には以下のようなものが含まれます。
- 物件の賃料や管理費
- 消防設備の設置
- 家具家電の購入
- リネンや清掃設備の準備
- 行政への届出
しかし、フリマサイトで中古の家具家電を集めたり、改装が必要ない物件を選んだり、自分で行政への届出を行うことで、初期費用を1/3以下に抑えることができます。
運営費用
民泊の運営には、毎月の運営費用がかかります。主な費用は以下の通りです。
- 管理費: 13万円~15万円程度
- 民泊運営代行サービス: 売上の20%程度
- 清掃費用
- 人件費
- 税金
管理業務を民泊運営代行業者に丸投げすると月額10万円~12万円かかりますが、初期費用が高くリスクも高いため、初めての方は月額2万円程度の安い代行業者を利用するのがおすすめです。
近隣住民への説明
民泊を始める際は、近隣住民への説明会の開催が重要です。民泊による騒音や迷惑行為に対する理解を得ることが、トラブル防止につながります。
まとめ
民泊事業を始めるには、様々な手続きと費用がかかります。申請の種類によって必要な書類や費用は異なり、自治体ごとにも違いがあるため、事前の準備が重要です。初期費用や運営費用、近隣住民への説明など、様々な点に注意を払う必要があります。適切な準備と専門家への相談を行いながら、民泊事業を始めることをおすすめします。