はじめに
小田原市は、神奈川県西部に位置する自然豊かな街です。観光地の箱根や真鶴町に近接しながら、静かな住宅街を有しており、近年では民泊事業が注目されています。民泊とは、一般住宅の一部または全部を活用した新しいスタイルの宿泊サービスで、旅行者にとってはホテルとは違った体験ができ、住民にとっては新たな収入源になります。本記事では、小田原市における民泊事業の実態と魅力、留意点などについて、さまざまな角度から紹介していきます。
小田原市の民泊事業
小田原市では、民泊事業を行う際に小田原保健福祉事務所への届出が義務付けられています。届出は民泊制度ポータルサイトから行い、外国籍の場合は特別な書類が必要になります。事業者には標識の掲示や宿泊者名簿の作成など、さまざまな義務が課されています。
届出と義務事項
民泊事業を始める際は、小田原保健福祉事務所に届出を行わなければなりません。届出は民泊制度ポータルサイトから登録・ログインし、必要書類を提出する形式になります。外国籍の場合は、在留カードなどの追加書類の提出が求められます。代理人による届出や、複数の住戸・棟での一括届出も可能です。
届出が済めば、事業者には様々な義務が課されます。まず、住宅の入り口付近に事業の届出番号を掲示する必要があります。また、宿泊者の衛生・安全・快適性の確保、宿泊者名簿の作成と一定期間の保管、周辺地域への迷惑防止対策なども義務付けられています。
運営形態と報告
民泊の運営形態には、「家主居住型」と「家主不在型」の2つがあります。家主居住型は住宅所有者が同居しながら民泊事業を行う形態で、家主不在型は住宅所有者が不在の状態で貸し出す形態です。
家主居住型の場合は、住宅宿泊管理業務を自ら行うことになります。一方の家主不在型では、住宅宿泊管理業者に業務を委託する必要があります。報告の内容や頻度は運営形態によって異なり、「民泊制度運営システム」を利用して行うのが原則です。システムの利用が難しい場合は、小田原保健福祉事務所に相談することができます。
変更や廃業の手続き
民泊事業に変更があった場合や廃業する際は、所定の手続きが必要になります。住所や営業期間の変更、民泊室数の増減などの変更点は、民泊制度運営システムから届け出る必要があります。また、廃業する際も同様に届出が求められます。
変更や廃業の手続きを怠ると、旅館業法違反として処罰の対象となる可能性があります。民泊制度運営システムの利用申込みも必要になるため、手続きを確実に行うことが重要です。
小田原の魅力的な民泊施設
小田原市内には、個性的でユニークな民泊施設が存在しています。観光やレジャーなど、さまざまな目的で訪れるゲストに対応できる施設が揃っています。
「凹家」の古民家体験
米神地区にある「凹家」は、最大14名まで宿泊可能な一棟貸しの古民家です。根府川駅から車で3分、箱根までも15分とアクセスに優れ、海沿いの絶景が楽しめます。宿泊料金は1泊4,200円/人からと手頃な価格設定です。
凹家では、羽毛布団や高速Wi-Fi、各種ゲーム機など、充実した設備を完備しています。また、隣接する米神漁港では釣りやBBQ、花火などのレジャーを楽しめます。SNSでは小田原の情報が発信されており、地元の魅力を体感できる人気の宿泊施設となっています。
「Tipy records House」での音楽体験
音楽好きに人気なのが「Tipy records House」です。レコードやCDを持参したゲストには割引が提供されるユニークなコンセプトです。コロナ禍で一時休業を余儀なくされましたが、焼き芋の出店やテイクアウトなどの工夫で乗り切りました。
さらに地元の飲食店やお試し移住プログラムとも連携し、小田原の新しい魅力を発信する拠点となっています。約4割の参加者が実際に移住を決めるなど、小田原の地域おこしにも一役買っています。
民泊の代行サービス
小田原市では、民泊運営の代行サービスを提供する業者も存在します。物件の適法性の確認や許認可申請のサポート、清掃業務、予約管理など、トータルでサポートしてくれるため、手間を大幅に軽減できます。
「みんサポ」の総合的な支援
「みんサポ」は、小田原・箱根エリアに特化した民泊運営の代行サービスを展開しています。代表者が司法書士・行政書士の資格を持っているため、物件の適法性判断や許認可申請がスムーズに行えます。
清掃業務にも力を入れており、50項目以上のチェックリストと写真記録で高い品質を保証しています。最新の条例や状況を把握しているため、最適な収益モデルの提案も可能です。物件の仲介・販売、融資コンサルティングなども手掛けており、民泊運営のトータルサポートを実現しています。
小田原市の民泊代行サービス
小田原市でも、民泊事業者向けの代行サービスが提供されています。物件の仲介やリフォーム、インテリアコーディネートから、予約管理や清掃、レポート作成まで、民泊運営に必要なサービスを幅広くカバーしています。
外国人ゲストにも対応できるよう、4か国語でのサポートを実施しています。万が一のトラブル対応も含まれており、ゲストの満足度向上を支援してくれます。民泊事業を始めたい方は勿論、既に運営されている方でも、民泊代行サービスの利用がおすすめです。
注意点と課題
一方で、民泊事業を行う上では、いくつかの注意点や課題も存在しています。法令順守はもちろんのこと、地域住民との良好な関係づくりも欠かせません。
法令順守の重要性
民泊事業を営む上で最も重要なのが、関連法令の順守です。旅館業法をはじめ、住民税条例や消防法、建築基準法などの法令を遵守する必要があります。違反があれば無許可営業として処罰の対象となる可能性があります。
小田原市では住宅宿泊事業の届出が義務付けられているため、事業開始の際は必ず小田原保健福祉事務所への届出を怠らないようにしましょう。届出を怠ると、旅館業法違反に問われかねません。
地域住民との良好な関係
民泊は一般住宅を活用するため、近隣住民との軋轢を避けることが重要です。ゲストの発する騒音などによるトラブルを防ぐために、近隣住民へのルール周知や窓口設置なども検討する必要があります。
小田原市では、民泊事業者に対し周辺地域への悪影響防止が義務付けられています。騒音や生活騒ぎなどによる近隣トラブルがないよう、ゲストへの注意喚起や対策を講じることが求められます。
まとめ
小田原市は自然豊かな環境と歴史的な魅力が共存する人気の観光地です。近年では民泊事業の広がりを見せており、個性的な施設が目立ちます。一方で、事業を行う上では法令順守と地域住民との良好な関係づくりが欠かせません。
届出の義務化など、民泊事業に関する規制も存在しますが、民泊代行サービスの利用などで負担を軽減できます。小田原市の魅力ある民泊を通じて、観光客の受け入れ促進や地域活性化につなげていくことが期待されています。
