はじめに
風営法3号営業は、飲食店経営において特別な許可が必要となる営業形態の一つです。この営業は、客室の構造や設備に特定の条件があり、適切な理解なしに営業を行うと法的なリスクを伴う可能性があります。
風営法3号営業の基本概念
風営法3号営業とは、喫茶店やバーなどの設備を設けて客に飲食させる営業で、客室の床面積が5平方メートル以下で、外部から容易に見通すことができない構造のものを指します。この営業形態は、いわゆる「カップル喫茶」や個室居酒屋などが該当し、客のプライバシーを重視した営業スタイルが特徴です。
このような営業を行う際には、都道府県公安委員会からの許可が必要となり、無許可で営業を行った場合は風営法違反となるリスクがあります。そのため、開業を検討している事業者は事前に十分な知識を身につけておくことが重要です。
現代における風営法3号営業の実態
実際の風営法3号営業の許可申請件数は年間1~2件と非常に少ないのが現状です。これは、多くの事業者が許可を得ずに営業している可能性を示唆しており、風営法違反のリスクが高い状況が続いています。
一方で、インターネットカフェなどでは、客室の広さや構造を工夫することで3号営業の許可を得ずに営業している例が多く見られます。これらの事業者は、個室の密室状態を避けるための対策を講じることで、風営法3号営業に該当しないよう配慮しているのです。
法的な重要性と注意点
風営法3号営業を適切に理解することは、飲食店経営者にとって極めて重要です。なぜなら、知らずに該当する営業を行ってしまった場合、行政処分や刑事罰の対象となる可能性があるからです。
特に、個室型の飲食店を経営する際は、客室の構造や設備が風営法の規制対象に該当しないかを事前に確認することが必要です。不明な点がある場合は、事前に管轄の警察署に相談し、適切な判断を仰ぐことが重要となります。
風営法3号営業の定義と要件

風営法3号営業には明確な定義と満たすべき要件が法律で定められています。これらの要件を正確に理解することで、適法な営業を行うことができます。
客室の構造的要件
風営法3号営業における最も重要な要件の一つが客室の構造です。具体的には、客室の床面積が5平方メートル以下であり、内部が容易に見通せず、照度が10ルクス以下の店舗での営業が対象となります。これらの条件は、客のプライバシーを保護する一方で、不適切な行為を防止することを目的としています。
また、客室の高さを低くする、客室に窓を設けないなどの具体的な構造基準も定められています。これらの基準を満たす客室を設ける場合は、必ず事前に風営法3号営業の許可を取得する必要があります。
営業内容に関する要件
風営法3号営業では、店内での飲食提供以外の営業は原則として禁止されています。つまり、あくまでも飲食サービスの提供が主たる業務でなければならず、それ以外のサービスを併設することは認められていません。
営業時間についても一定の制限があり、深夜営業を行う場合は追加の届出が必要となる場合があります。また、18歳未満の利用は禁じられており、年齢確認の徹底が求められます。
許可申請に必要な書類と手続き
風営法3号営業の許可を得るためには、多くの書類整備が必要となります。申請書類には、営業者の身分証明書、店舗の図面、設備の詳細な説明書などが含まれ、これらを適切に準備することが許可取得の前提条件となります。
手続きが複雑であることから、多くの事業者は行政書士に依頼することを選択しています。専門家のサポートを受けることで、申請書類の不備によるトラブルを避けることができ、スムーズな許可取得が期待できます。
許可取得のための三つの要件

風営法3号営業の許可を得るためには、法律で定められた三つの重要な要件をすべてクリアする必要があります。これらの要件を理解し、適切に対応することが許可取得の鍵となります。
人的要件について
人的要件とは、営業者やお店の管理者に欠格事由がないことを求める要件です。具体的には、破産者で復権を得ない者、禁錮以上の刑に処せられた者、暴力団関係者などは営業を行うことができません。これらの欠格事由は、公序良俗の維持と健全な営業環境の確保を目的としています。
また、過去に風営法違反で処分を受けた者についても、一定期間は新たな許可を取得することが制限されています。そのため、営業者は自身の経歴を十分に確認し、欠格事由に該当しないことを証明する必要があります。
場所的要件の詳細
場所的要件では、学校や病院、図書館などの保護対象施設から一定の距離を保つことが求められます。これらの施設の周辺では、青少年の健全な育成や良好な生活環境の維持を目的として、風営法3号営業が制限されています。
距離の基準は自治体によって異なる場合があり、一般的には100メートルから200メートル程度の範囲が設定されています。店舗の立地を検討する際は、事前に管轄の警察署で具体的な制限区域を確認することが重要です。
構造的要件の具体的基準
構造的要件は、客室の構造や設備が法律で定められた基準を満たしていることを求める要件です。客室の床面積、天井の高さ、照明の明るさ、見通しの確保など、詳細な基準が設定されています。
これらの基準は、客の安全確保と不適切な行為の防止を目的として設けられています。店舗設計の段階から、これらの要件を満たす構造とすることで、許可取得後のトラブルを避けることができます。
インターネットカフェと風営法の関係

近年、インターネットカフェの営業形態と風営法3号営業の関係について議論が増えています。個室型のインターネットカフェが風営法の規制対象となるかどうかは、具体的な営業内容と構造によって判断されます。
インターネットカフェの基本的な位置づけ
一般的に、インターネットカフェは個室の密室状態を避けるための対策を講じることで、風営法3号営業に該当しないと考えられています。具体的には、個室に鍵をつけない、定期的な巡回を行う、適切な照明を確保するなどの対策により、風営法の規制を回避しています。
しかし、一部のインターネットカフェでは「鍵付防音個室」が設置されており、これらの施設については風営法3号営業に該当する可能性があります。ただし、飲食が提供されない場合は風営法の対象外となるため、サービス内容によって判断が分かれるのが現状です。
地域による指導と規制の違い
インターネットカフェに対する風営法の適用は、地域によって異なる場合があります。一部の地域では警察から指導を受けることもあり、インターネットカフェ経営者は風営法の知識を持っておく必要があります。
東京都では、インターネットカフェに対して入店時の本人確認と営業の届出制が義務付けられています。このような地域固有の規制があるため、営業を開始する前に、各自治体の具体的な要件を確認することが重要です。
適切な営業を行うための対策
インターネットカフェ経営者が風営法の問題を避けるためには、事前に警察署に相談し、判断を仰ぐことが重要です。警察庁は、インターネットカフェの構造、設備、営業方法に応じた個別の判断が必要としており、画一的な基準では判断できない複雑な問題となっています。
営業開始後も、定期的に営業内容を見直し、風営法に抵触しないよう注意を払うことが求められます。特に、個室の構造変更やサービス内容の追加を行う際は、再度専門家に相談することをおすすめします。
風営法違反のリスクと対策

風営法3号営業に関する規制を理解せずに営業を行うことは、重大な法的リスクを伴います。適切な対策を講じることで、これらのリスクを最小限に抑えることが可能です。
風営法違反による罰則
風営法に違反した場合の罰則は非常に厳しく設定されています。営業禁止区域において店舗型性風俗特殊営業を行った場合は、2年以下の拘禁若しくは200万円以下の罰金が科せられます。また、無許可営業についても同様の重い罰則が適用される可能性があります。
さらに、18歳未満の者を接客に従事させることや、18歳未満の者に客として店舗に立ち入らせることも罰則の対象となります。これらの違反は、単なる行政処分にとどまらず、刑事責任を問われる可能性があるため、十分な注意が必要です。
継続的な法的サポートの重要性
風営法の規制は複雑で、解釈が困難な場面も多いため、顧問弁護士による継続的なサポートが重要となります。特に、ナイトビジネス業界に特化した法律事務所では、豊富な経験と専門知識を活かしたサポートを提供しています。
例えば、グラディアトル法律事務所などは500店舗以上の風俗店の顧問を担当しており、トラブル予防にも力を入れています。このような専門性の高い法的サポートを受けることで、営業上のリスクを大幅に軽減することができます。
予防的措置と定期的な見直し
風営法違反のリスクを避けるためには、予防的措置を講じることが最も効果的です。営業開始前の十分な調査と準備、定期的な営業内容の見直し、法改正への迅速な対応などが重要な要素となります。
また、従業員に対する適切な教育も欠かせません。特に、年齢確認の徹底や適切な接客方法について、定期的な研修を実施することで、現場レベルでのトラブル防止が期待できます。営業者は常に最新の法的情報を把握し、適切な営業を維持する責任があります。
専門家のサポートと相談体制

風営法3号営業に関する複雑な法的要件を適切に満たすためには、専門家のサポートが不可欠です。行政書士や弁護士などの専門家と連携することで、安全で適法な営業を実現できます。
行政書士による許可申請サポート
風営法3号営業の許可申請には多くの書類整備が必要であり、手続きが非常に複雑です。行政書士は、これらの申請手続きに精通しており、書類の作成から提出まで一貫したサポートを提供しています。専門家に依頼することで、申請書類の不備による遅延や却下を避けることができます。
また、行政書士は最新の法改正情報や行政の運用状況についても詳しく、適切なアドバイスを提供できます。特に初回の許可申請では、経験豊富な行政書士のサポートを受けることを強くおすすめします。
弁護士による総合的な法的支援
風営法に関する問題は、許可申請だけでなく、営業開始後の法的トラブルにも及ぶ可能性があります。弁護士は、これらの幅広い法的問題に対応できる専門家として、営業者にとって重要なパートナーとなります。
特に、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所では、業界特有の問題について深い理解を持っており、効果的なソリューションを提供できます。継続的な顧問契約を結ぶことで、日常的な法的相談から緊急事態への対応まで、包括的なサポートを受けることができます。
警察署との事前相談の重要性
風営法3号営業に関する判断は、具体的な営業内容と構造によって決まるため、事前に管轄の警察署に相談することが極めて重要です。警察署では、営業予定の内容について事前に相談を受け付けており、適法性について指導を受けることができます。
この事前相談は無料で利用でき、営業開始後のトラブルを防ぐ最も効果的な方法の一つです。営業者は図面や営業計画書を持参し、具体的な質問を準備して相談に臨むことで、より有益な指導を受けることができます。不明な点や疑問がある場合は、遠慮なく相談することをおすすめします。
まとめ
風営法3号営業は、個室型飲食店の営業において極めて重要な法的規制です。客室の床面積が5平方メートル以下で、外部から容易に見通すことができない構造の店舗では、必ず事前に都道府県公安委員会からの許可を取得する必要があります。許可を得るためには、人的要件、場所的要件、構造的要件の三つの要件をすべて満たすことが必要であり、これらの要件を理解し適切に対応することが成功の鍵となります。
現代では、インターネットカフェなどの新しい営業形態についても風営法の適用が問題となっており、事業者は最新の法的動向を常に把握する必要があります。風営法違反による罰則は非常に厳しく、無知による違反は重大な結果を招く可能性があるため、専門家のサポートを受けながら適切な営業を行うことが重要です。行政書士や弁護士、そして管轄の警察署との連携を通じて、安全で合法的な営業を実現し、健全なビジネス環境を維持していくことが求められています。

