はじめに
外国人が日本で就労するためには、就労ビザの取得が必須となります。就労ビザとは、日本で働くことを目的とした在留資格のことを指します。この記事では、就労ビザについて詳しく解説していきます。
就労ビザの種類
就労ビザには様々な種類があり、それぞれ認められている活動内容や在留期間が異なります。主な就労ビザの種類を見ていきましょう。
技術・人文知識・国際業務
専門的・技術的分野の知識や経験、または国際業務の従事を目的とした在留資格です。技術者、研究者、外国語教師などが該当します。在留期間は最長5年で、更新は無制限です。
この在留資格を取得するには、一定の学歴や実務経験が必要となります。例えば、大学卒業相当以上の専門知識や10年以上の実務経験が要件とされています。
特定技能
特定の産業分野で特定の技能を有する外国人が就労することを目的とした在留資格です。介護、建設、外食業などの人手不足分野で受け入れが行われています。
特定技能には1号と2号の2つの在留資格があり、1号は特定の専門的・技術的分野の就労が認められ、2号は熟練した技能を有する人の受け入れが対象となります。在留期間は最長5年です。
技能実習
開発途上国の技能実習生を一定期間受け入れ、実務の現場で技能を修得させる制度です。技能実習生は企業での就労を通じて技能を習得し、母国で活かすことを目的としています。
技能実習には1号から3号までの在留資格があり、それぞれ在留期間が異なります。例えば1号は最長1年、2号は最長3年、3号は最長2年となっています。
就労ビザの申請手続き
就労ビザを取得するには、一定の書類を整え、出入国在留管理局に申請する必要があります。申請方法には新規申請と在留資格変更の2つがあります。
新規申請
海外から新たに日本に入国する場合の申請方法です。まず企業側で在留資格認定証明書の交付申請を行い、申請者は認定書を受け取った後、日本国大使館・領事館でビザ(査証)の申請を行います。
申請に必要な書類は、入国目的に関する資料、経歴や学歴を証明する書類、採用・雇用契約書、企業の概要資料などです。審査には1~3か月程度の期間を要します。
在留資格変更申請
日本国内に在留している外国人が、現在の在留資格から就労ビザに変更する場合の申請方法です。申請者本人が入国管理局に申請書を提出する必要があります。
申請には現在の在留カード、パスポート、申請理由書、雇用契約書、企業の概要書類などの提出が求められます。審査には1~2か月程度を要します。
在留期間の更新
就労ビザには有効期限があり、引き続き日本で就労するためには在留期間の更新が必要になります。更新の申請は有効期限の3か月前から可能です。
更新申請には在留カード、パスポート、申請書、勤務状況説明書、給与明細書などの提出が求められます。審査期間は1~2か月程度です。
就労ビザ取得の注意点
就労ビザの取得には細かい要件があり、不備があると不許可になる可能性があります。ここでは、主な注意点をご紹介します。
学歴・実務経験の要件
就労ビザの取得には、一定の学歴や実務経験が必要とされる種類が多くあります。企業は応募者の経歴を十分に確認し、ビザの要件を満たしているかを事前にチェックすることが重要です。
例えば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、大学卒業相当以上の専門的知識または10年以上の実務経験が必要とされています。
日本語能力
就労ビザの一部の在留資格では、一定の日本語能力が求められます。例えば、介護分野の「特定技能」の場合は日本語能力試験N4程度が必須とされています。
企業は応募者の日本語能力を事前に確認し、必要に応じて日本語研修を実施するなど、対策を講じることが望ましいでしょう。
給与水準
就労ビザを取得する外国人の給与は、日本人従業員と同等以上の水準を確保する必要があります。企業は採用時から適正な給与設定を行わなければなりません。
給与が日本人より低い場合は、就労ビザの不許可理由になるだけでなく、雇用側が不法就労助長罪に問われるリスクもあります。
まとめ
就労ビザは外国人が日本で就労するための重要な在留資格です。種類によって要件や手続き、在留期間が異なるため、企業は採用時から十分な確認と準備を行う必要があります。
また、在留期間の管理や給与設定など、雇用後の対応にも注意が必要です。外国人材の活用には適切な就労ビザの取得と管理が不可欠となるでしょう。