はじめに
日本に家族を呼び寄せたい外国人の方は多数いらっしゃいますが、手続きや要件が複雑で分かりにくいという声も少なくありません。本記事では、家族滞在ビザに関する基本的な情報から申請の手順、注意点に至るまで、詳しく解説していきます。家族と一緒に日本で生活したいという願いを実現するためのガイドとして、ぜひ参考にしてください。
家族滞在ビザとは
家族滞在ビザとは、就労ビザや留学ビザを持つ外国人が、配偶者や子供を日本に呼び寄せるためのビザです。家族滞在ビザを取得することで、扶養家族は日本で共に生活することができます。
対象となる親族関係
家族滞在ビザの対象となる親族関係には、一定の要件があります。対象となるのは以下の通りです。
- 配偶者(法律上の婚姻関係にある者)
- 子供(嫡出子、養子、認知された非嫡出子)
したがって、両親や兄弟姉妹は家族滞在ビザの対象外となります。また、事実婚のパートナーは原則として対象外ですが、例外的に認められる場合もあります。
活動内容の制限
家族滞在ビザでは、収入を伴う事業の運営や報酬を受ける活動は認められていません。活動内容は、日常生活上の活動や、教育を受けることに限られます。ただし、「資格外活動許可」を受ければ、週28時間までのアルバイトなどが可能です。
在留期間
家族滞在ビザの在留期間は、扶養者の在留期間と同じになります。例えば、扶養者の在留期間が3年の場合、家族滞在ビザの在留期間も3年となります。在留期間の更新は可能ですが、扶養者が在留資格を失えば、家族滞在ビザも失効してしまいます。
申請要件
家族滞在ビザの申請には、いくつかの要件を満たす必要があります。主な要件は以下の通りです。
扶養者の在留資格
扶養者の在留資格が以下のいずれかに該当している必要があります。
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 投資・経営
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術
- 人文知識・国際業務
- 企業内転勤
- 興行
- 技能
- 文化活動
- 留学
特定活動ビザや留学ビザの扶養家族も対象となる場合がありますが、経済的に独立している場合は対象外となります。
扶養関係の証明
扶養者と申請者の間に実際の扶養関係があることを証明する必要があります。配偶者の場合は婚姻関係、子供の場合は親子関係を証明する書類が必要となります。
扶養能力の立証
扶養者に家族を扶養する十分な経済的能力があることを立証する必要があります。扶養者の職業や収入を証明する書類の提出が求められます。
申請手続き
家族滞在ビザの申請手続きは、新規入国と在留資格変更の2つのパターンがあります。
新規入国の場合
- 扶養者が在留資格認定証明書の交付を受ける
- 在留資格認定証明書を本国の家族に送付する
- 家族が本国の日本大使館で査証(ビザ)の発給申請を行う
- 査証が発給されれば、家族は日本へ入国できる
新規入国の場合、事前に在留資格認定証明書の交付を受ける必要があり、家族が本国でビザ申請を行います。
在留資格変更の場合
- 扶養者が在留資格認定証明書の交付を受ける
- 家族が在留資格変更許可申請を行う
- 許可が下りれば、家族滞在ビザが発給される
既に日本に滞在している家族の場合は、在留資格の変更申請を行います。この場合、在留資格認定証明書は申請時に提出する書類の一つとなります。
主な必要書類
家族滞在ビザの申請には、様々な書類の提出が求められます。主な必要書類は以下の通りです。
新規入国の場合
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 申請者(扶養者)の証明写真
- 扶養者のパスポートコピー
- 扶養者の在留カードや住民票
- 扶養者と申請者(家族)の身分関係を証する書類
- 配偶者の場合:婚姻証明書など
- 子供の場合:出生証明書など
- 扶養者の職業や収入を証する書類
- 給与明細書
- 源泉徴収票
- 確定申告書の写し
- 預金残高証明書など
在留資格変更の場合
- 在留資格変更許可申請書
- 申請者(家族)の証明写真
- 申請者(家族)のパスポートコピー
- 申請者(家族)の在留カード
- 在留資格認定証明書(扶養者が取得したもの)
その他、状況に応じて追加の書類が求められる場合があります。申請時には最新の情報を確認し、必要書類を漏れなく準備することが重要です。
留意事項
家族滞在ビザの申請には、いくつかの留意点があります。
経済的な基準
家族滞在ビザの許可には、扶養者の経済的な能力が重視されます。具体的な基準はありませんが、生活できる程度の安定収入があれば良いとされています。預金残高よりも、月々の収入が重視される傾向にあります。
子供の年齢
子供の年齢が高くなるほど、家族滞在ビザの許可が難しくなる傾向にあります。特に成人年齢に達していると、扶養関係の立証が難しくなります。
親子が別々に入国する場合
親が先に入国し、後から子供を呼び寄せる場合は、慎重な説明が求められます。子供を呼び寄せる理由や、一緒に生活する予定であることを明確に示す必要があります。
資格外活動許可の制限
資格外活動許可を受けた場合でも、週28時間を超えてアルバイトをすると、在留期間の更新が認められない可能性があります。制限時間を守ることが重要です。
まとめ
家族滞在ビザを取得することで、外国人家族は日本で一緒に生活することができます。しかし、申請には様々な要件を満たす必要があり、手続きも複雑な場合があります。本記事で解説した内容を参考に、ビザ専門家に相談するなどして、スムーズな申請を心がけましょう。家族と日本での生活を実現するためのサポートを活用することをおすすめします。