はじめに
民泊新法の施行に伴い、住宅宿泊事業を始めるための申請手続きが整備されました。今回は、民泊新法による申請の概要と、具体的な申請方法について詳しく解説していきます。民泊事業には様々な規制がありますが、適切な手続きを踏めば、合法的な民泊サービスを提供することができます。この記事を通して、民泊新法の申請要件や必要書類、注意点などを理解していただければと思います。
民泊新法の概要
民泊新法とは、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するための法律です。この法律により、一定の要件を満たせば、住宅を活用して年間180日以内の宿泊サービスを提供することが可能となりました。
住宅宿泊事業の定義
住宅宿泊事業とは、人の居住の用に供されている住宅で宿泊者を受け入れる事業のことを指します。住宅には、台所、浴室、便所、洗面設備が設けられていなければなりません。また、実際に人が生活の拠点としているか、入居者の募集がされているか、所有者や賃借人が随時居住しているか、のいずれかの要件を満たす必要があります。
住宅宿泊事業には「家主居住型」と「家主不在型」の2種類があり、家主不在型の場合は住宅宿泊管理業者に委託する必要があります。このように、事業形態によって異なる対応が求められます。
主な規制内容
民泊新法では、事業者に対して以下のような規制が設けられています。
- 宿泊者名簿の作成・保存義務(3年間)
- 届出住宅への標識掲示義務
- 周辺地域への事前周知義務
- 消防法令への適合義務
このように、民泊事業を適切に運営するためには、様々な規制を遵守する必要があります。特に消防法令への適合は重要で、消防設備の設置など、一定の基準を満たす必要があります。
民泊新法の申請手続き
民泊新法に基づく住宅宿泊事業を始めるには、所管する都道府県知事への届出が必要です。届出は原則としてオンラインの「民泊制度運営システム」から行います。
必要書類の準備
申請に必要な主な書類は以下の通りです。
- 住宅宿泊事業届出書
- 役員等の欠格事由に該当しない旨の誓約書
- 住宅の登記事項証明書
- 入居者募集の広告や居住を証する書類
- 住宅の図面
- 賃借人の場合は賃貸人の承諾書
- 区分所有建物の場合は管理規約の写し
個人・法人、家主居住型・家主不在型によって、必要書類は異なります。また、法令に適合していることを証明する書類の添付も求められる場合があります。事前に十分な準備が重要です。
オンラインでの申請手順
民泊制度運営システムにアクセスし、以下の手順で申請を行います。
- ユーザー登録を行う
- 必要事項と添付書類をシステムに入力・アップロード
- 入力内容を確認し、申請を送信
- 受理後、1年以内に審査が行われる
インターネットが利用できない場合は、管轄の保健所に相談する必要があります。また、システム上で不明な点があれば、民泊制度コールセンターに問い合わせることができます。
各自治体の条例への対応
民泊新法に加え、各自治体でも独自の条例が定められている場合があります。条例によっては、学校周辺や住専地域での営業制限、個人番号カードの提出義務付けなど、様々な規制があります。
大阪市の条例
大阪市では2019年4月に条例が改正され、以下の点が変更されました。
- 義務教育学校の敷地周囲100m以内での営業が制限された
- 個人番号カードの写しが本人確認書類として追加された
- 新法民泊施設の環境整備を支援する補助金制度が設けられた
このように、自治体ごとに異なる規制があるため、事前に条例の内容を確認し、対応が必要です。
その他の対応事項
条例以外にも、以下のような点に注意が必要です。
- 旅館業法への抵触がないか確認
- 食品衛生法や建築基準法など他法令への対応
- マンション管理規約への明記
- ゴミ処理対策
様々な関連法規への対応が求められるため、専門家に相談するのが賢明です。行政書士や民泊コンサルタントなどに依頼し、トラブルのないよう十分な準備を心がけましょう。
まとめ
民泊新法の施行により、住宅宿泊事業を始めるための環境が整備されました。しかし、申請には多くの書類を準備する必要があり、消防法令への適合や自治体条例への対応など、様々な規制にも留意しなければなりません。オンラインシステムを活用しつつ、専門家への相談も検討するなど、適切な手続きを踏むことが重要です。民泊事業は新しいビジネスチャンスですが、法令違反にならないよう、丁寧な準備と運営が求められます。
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