はじめに
民泊事業は近年、旅行者に人気の宿泊形態として注目を集めています。しかし、民泊を始める際には法令を遵守し、様々な書類の準備が必要になります。本記事では、民泊の申請手続きで必要となる書類について詳しく解説します。民泊に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
民泊の届出に必要な書類
民泊を始めるには、住宅宿泊事業法に基づき都道府県知事等への届出が義務付けられています。届出の際には、様々な書類の提出が求められます。
住宅宿泊事業届出書
届出の中心となる書類で、事業者の氏名・住所、住宅の所在地、管理業者の有無など、重要な事項を記載します。民泊制度運営システムから入力するか、様式をダウンロードして作成します。
外国人の場合は、在留カードなどの本人確認書類の提出が必須です。法人の場合は、定款や登記事項証明書なども求められます。
消防法令適合通知書
民泊で使用する住宅が消防法令に適合していることを証明する書類です。消防署に申請し、立入検査を受けた上で取得します。建物の構造や設備によって、求められる消防設備が異なります。
消防法令を満たせない場合は、民泊の営業は認められません。安全性の確保は民泊事業にとって最も重要な要件です。
入居者募集の広告など
賃貸物件で民泊を行う場合、入居者を募集していることを証明する書類が必要となります。インターネット広告やチラシなどの広告物を提出します。
所有物件の場合は、所有者が実際に居住していることを示す公共料金の支払い証明書などを提出する必要があります。
住宅の登記事項証明書・図面
住宅の所在地、不動産番号、構造、面積などが記載された登記事項証明書と、間取りや設備の配置が分かる図面を提出します。法務局で取得できる公的な書類で、発行日から3か月以内のものを使用します。
共同住宅の場合は、区分所有者全員の住民票や、管理組合の規約の写しなども必要となる場合があります。
その他の必要書類
届出の際に求められる書類は以上が主なものですが、状況によっては他の書類の提出も求められます。
転借人の場合の書類
転借人が民泊を行う場合、賃借人と転貸借契約を結び、大家の転貸承諾書を得る必要があります。これらの書類のコピーを提出します。
区分所有建物の場合は、専有部分を住宅宿泊事業の用途に供することについて、管理組合に確認し、規約の写しなどを提出します。
食品衛生関係の書類
宿泊者に調理した食事を提供する場合は、食品衛生法に基づく営業許可や届出が必要となります。該当する場合は、関係書類を別途準備する必要があります。
食中毒が発生した場合の損害賠償にも備え、賠償責任保険への加入を検討するのも賢明でしょう。
代理人による届出の場合
本人が国外に在留している場合など、代理人による届出を認められる場合があります。代理権を証明する委任状などの提出が求められます。
法人の場合、役員などが代理人となることが一般的です。個人事業主の場合は、専門業者に代行を依頼することもできます。
届出後の義務と手続き
一度届出が受理されれば、民泊事業を開始できます。しかし、それ以降も様々な義務や手続きが課されます。
標識の掲示と施設情報の公開
届出を受理されると、標識が発行されます。これを公衆の見やすい場所に掲示する義務があります。施設の情報も自治体のウェブサイトで公開されます。
標識は届出番号が記載されており、利用客への情報提供や監視体制の面でも重要です。掲示場所には十分注意を払う必要があります。
定期報告と変更・廃止の届出
民泊の実績として、毎月や四半期ごとに宿泊日数や宿泊者数を報告する必要があります。報告は民泊制度運営システムで行うのが一般的です。
また、届出内容に変更があれば変更届を、事業を廃止する場合は廃止届を提出する義務もあります。手続きを怠ると罰則が課されるリスクがあります。
宿泊者への対応
事業者には、宿泊者の安全確保や周辺地域への迷惑防止なども義務付けられています。宿泊者名簿の作成、ゴミ処理への注意などのルールを守る必要があります。
外国人に対しては、施設の案内や生活ルールを適切に外国語で伝えることが求められる自治体もあります。
まとめ
民泊の申請には、様々な書類の準備が必要です。届出書をはじめ、消防法令への適合や本人確認、住宅関係の書類など、提出物は多岐にわたります。さらに自治体によって独自のルールがあるケースも多く、事前の確認が欠かせません。
一方で、手続きを適切に行えば合法的に民泊事業を営めるメリットは大きいでしょう。訪日外国人向けサービスの需要は高まる一方です。民泊ビジネスへの参入を検討する際は、関連法令と書類の準備を怠らずに進めていきましょう。