はじめに
特定技能2号は、製造業や建設業など人手不足が深刻な分野で高度な技能を持つ外国人材の受け入れを促進する重要な制度です。本記事では、特定技能2号の概要、要件、試験、メリットなどについて詳しく解説します。
特定技能2号とは
特定技能2号は、特定の産業分野において高度な技能や経験を有する外国人に与えられる在留資格です。
対象分野の拡大
2023年6月の閣議決定により、特定技能2号の対象分野が大幅に拡大されました。建設や造船・舶用工業に加え、製造業、農業、漁業、飲食業など計11分野が新たに追加されました。今後、さらなる分野の追加が検討されています。
分野が広がったことで、より多くの外国人材が特定技能2号の在留資格を取得できるようになり、人手不足の解消が期待されています。
特定技能1号との違い
- 在留期間の上限なし(特定技能1号は最長5年)
- 家族の帯同が可能(特定技能1号は原則不可)
- 日本語能力試験が不要(特定技能1号は必須)
- より高度な技能水準が求められる
特定技能2号は、永住権取得の要件を満たせる可能性があり、より永続的に日本で就労できる点が大きなメリットです。
企業にとってのメリット
企業にとっても、特定技能2号外国人の受け入れには大きなメリットがあります。
- 外国人支援計画の策定が不要で、受け入れにかかるコストが抑えられる
- 即戦力として活躍が期待できる高度な技能を持つ人材の確保が可能
- 長期的な雇用が見込めるため、人材育成にも注力しやすい
特定技能2号の取得要件
特定技能2号を取得するためには、分野ごとに定められた試験と実務経験が必要です。
試験
各分野で特定技能2号評価試験や技能検定試験などの合格が求められます。例えば、製造分野では「製造分野特定技能2号評価試験」とビジネス・キャリア検定3級、または技能検定1級の合格が必要です。
実務経験
試験合格に加えて、一定年数以上の実務経験が必要とされます。実務経験の年数は分野によって異なり、2年以上が一般的です。また、監督者としての経験も求められる分野もあります。
| 分野 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 製造業 | 3年以上 |
| 建設業 | 一定の経験 |
| 造船・舶用工業 | 2年以上の監督者経験 |
その他の要件
- 18歳以上
- 健康状態が良好
- 有効な旅券の所持
- 費用負担の合意
特定技能2号を取得するメリット
特定技能2号の取得には、試験や経験要件を満たす必要がありますが、その見返りとしてさまざまなメリットがあります。
無期限の在留が可能
特定技能2号の在留期間には上限がありません。3年または1年ごとに更新を行えば、事実上無期限に日本に滞在できます。永住権の取得要件を満たす可能性もあります。
家族の帯同が可能
特定技能2号の外国人は、一定の要件を満たせば、配偶者や子供の家族を呼び寄せることができます。長期的な生活設計が立てやすくなります。
高い報酬と処遇が期待できる
特定技能2号では高度な技能が求められるため、国内での収入水準は比較的高くなる傾向にあります。また、企業も即戦力として期待しているため、処遇面でのメリットも期待できます。
外国人労働者の受け入れに関する政府の動き
政府は、人手不足の深刻な産業分野で外国人労働者の受け入れを促進するため、様々な取り組みを行っています。
過度な集中の防止
一方で、外国人労働者の大都市圏への過度な集中を防ぐため、企業に対する引き抜き雇用の自粛要請なども行われています。
分野の継続的な拡大
今後、自動車運送業、鉄道業、林業、木材産業などの分野でも特定技能の対象とすることが検討されています。特定技能制度の対象範囲は継続的に広がっていくことが予想されます。
まとめ
特定技能2号は、高度な技能を持つ外国人材の受け入れを可能にする重要な制度です。試験と実務経験という一定の要件を満たせば、無期限の在留や家族帯同など様々なメリットが得られます。制度の対象分野も拡大しており、企業と外国人双方にとってチャンスが広がっています。人手不足分野での外国人材の活用は今後さらに進むことが見込まれ、特定技能2号の重要性は高まるでしょう。
