旅館と民泊、オープンビジネスに適した選択は?旅館業法と民泊新法の決定的な違い

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目次

はじめに

民泊ビジネスが注目を集めるなか、旅館業法と民泊新法という2つの法律が存在しています。両者には多くの違いがあり、民泊を始める際は、自身のニーズに合わせて適切な法制度を選択する必要があります。本記事では、旅館業法と民泊新法の違いについて、詳しく解説していきます。

法制度の概要

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まずは、旅館業法と民泊新法の概要について理解しましょう。

旅館業法とは

旅館業法は、昭和23年に制定された法律です。この法律では、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業の3つの営業形態が定められています。旅館業を営むには、所在地を管轄する都道府県知事の許可が必要となります。

旅館業法の対象となるのは、基本的に180日を超えて宿泊サービスを提供する施設です。施設の構造・設備などについても、一定の基準が設けられています。

民泊新法とは

民泊新法の正式名称は「住宅宿泊事業法」です。2018年に施行された比較的新しい法律で、既存の住宅を活用した宿泊サービスを規制対象としています。

民泊新法では、「住宅宿泊事業」という新しい営業形態が定義されています。これは、1年のうち180日以内に限り、既存の住宅を貸し出す事業を指します。旅館業法とは異なり、住専地域(住専地域の場合自治体によって営業時間の制限がある場合が多い)でも営業が可能です。

営業日数の違い

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旅館業法と民泊新法の大きな違いは、営業可能日数にあります。

旅館業法の営業日数

旅館業法では、営業日数に制限はありません。つまり、年間を通して営業することが可能です。このため、安定した収益が見込めるメリットがあります。

一方で、施設の構造や消防設備など、様々な基準を満たす必要があり、コストがかかるデメリットもあります。

民泊新法の営業日数

民泊新法では、年間180日以内の営業に限定されています。この制限は、民泊を「住宅」の範疇に収めるための措置と考えられています。

180日以内という営業日数の制限は、旅館業法に比べると収益面で劣るものの、開業時のコストを抑えられるメリットがあります。自宅にゲストを招くスタイルなので、プライバシーの確保も容易です。

立地規制の違い

Architecture

立地規制についても、旅館業法と民泊新法では大きな違いがあります。

旅館業法の立地規制

旅館業法では、施設の立地場所に一定の制限があります。原則として、商業地域や近隣商業地域などの商業系用途地域でなければ営業ができません。

例外的に、準住居地域や田園住居地域などの一部の住居系用途地域でも営業が認められる場合がありますが、都市計画法に基づく手続きが必要です。

民泊新法の立地規制

一方、民泊新法では、ほとんどの地域で営業が可能です。住居専用地域を含む、あらゆる用途地域で民泊事業を行うことができます。

ただし、一部の自治体では、独自の条例により民泊を規制している場合があります。また、マンションの管理規約で民泊が禁止されていることもあるため、注意が必要です。

安全基準の違い

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宿泊施設の安全性を確保するための基準も、旅館業法と民泊新法で異なります。

旅館業法の安全基準

旅館業法では、施設の構造や設備に関する厳格な基準が設けられています。例えば、一定規模以上の施設には、避難階段や非常用進入口の設置が義務付けられています。

また、客室のドアには防火設備を講じる必要があり、消防設備についても細かな基準が定められています。これらの基準を満たすには、相応のコストがかかります。

民泊新法の安全基準

民泊新法の安全基準は、旅館業法に比べて緩やかです。既存の住宅を活用するため、住宅としての安全性が確保されていれば足りるためです。

ただし、一定の防火対策は講じる必要があります。例えば、自動火災報知器や住宅用消火器の設置が義務付けられています。宿泊室の面積に応じて基準が異なるので、確認が必要です。

手続きの違い

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旅館業と民泊事業を開始するための手続きにも、大きな違いがあります。

旅館業の手続き

旅館業を営むには、所在地を管轄する都道府県知事からの許可が必要です。許可申請時には、施設の構造や設備、経営者の資格など、様々な基準を満たす必要があります。

申請書類の作成や関係機関との調整など、煩雑な手続きが伴うため、専門家に依頼することが一般的です。初期投資も相当額にのぼります。

民泊事業の手続き

民泊事業を始める際の手続きは、旅館業に比べてはるかに簡単です。都道府県への届出が必要ですが、基準を満たせば原則として許可されます。

届出は、オンラインで行うことができます。また、自治体で条例が定められている場合は、別途手続きが必要となることもあります。

まとめ

本記事では、旅館業法と民泊新法の違いについて、詳しく解説してきました。営業日数、立地規制、安全基準、手続きなど、様々な点で両者は大きく異なります。

民泊を始める際は、自身のニーズや事業計画に合わせて、これらの違いを十分に理解したうえで、適切な制度を選択することが重要です。コストや収益性、プライバシーの確保など、それぞれのメリット・デメリットを把握し、総合的に判断することをおすすめします。

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