はじめに
日本の観光業界において、旅館業は重要な役割を担っています。宿泊施設を運営するには、旅館業法に基づく営業許可が必要不可欠です。本記事では、旅館業営業許可の申請方法や必要条件、注意点などを詳しく解説します。
旅館業営業許可とは
旅館業営業許可は、宿泊施設を適切に運営するための重要な許可です。旅館業法では、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を「旅館業」と定義しており、この営業を行うには保健所長の許可が必要となります。
旅館業の営業形態
旅館業には以下の4つの営業形態があり、それぞれ構造設備基準が異なります。
- ホテル営業
- 旅館営業
- 簡易宿所営業
- 下宿営業
民泊サービスについて
近年では民泊サービスも注目を集めていますが、個人が自宅や空き家の一部を利用して民泊を行う場合でも、旅館業の許可が必要になります。旅館業法は昭和23年に制定された古い法律ですが、2016年4月には民泊に関する規制が強化されました。
許可の種類
旅館業営業許可には、新規許可のほかに以下のような種類があります。
- 営業種別変更許可
- 営業承継許可
- 許可内容変更許可
状況に応じて適切な許可を取得する必要があります。
旅館業営業許可の申請方法
旅館業営業許可を取得するには、所定の手続きを経る必要があります。まずは管轄の保健所に事前相談を行い、必要書類や申請の流れを確認しましょう。
申請に必要な書類
申請には以下のような書類が必要となります。
- 営業許可申請書
- 定款や登記事項証明書(法人の場合)
- 施設の図面や配置図
- 建築確認済証や消防法令適合通知書
手数料について
申請手数料は一般的に22,000円程度が必要となります。ただし、承継や変更の場合は手数料が異なることがあります。
許可の種類 | 手数料 |
---|---|
新規許可 | 22,000円 |
承継許可 | 7,700円 |
申請から許可までの流れ
通常、申請から許可または不許可の決定までに15日程度を要します。この間に書類審査と現地調査が行われます。施設の構造設備が基準を満たしていることが確認されれば、営業許可書が交付されます。
施設の構造設備基準
旅館業営業許可を得るためには、施設の構造設備が一定の基準を満たしている必要があります。基準は営業形態によって異なりますが、おおむね以下のような点が求められます。
客室の基準
- 一定の床面積(ベッド有りの場合は9㎡以上など)
- 適切な換気・採光・照明
- 寝台の構造基準
浴室・便所設備の基準
- 浴槽の大きさと構造
- シャワー設備の有無
- 洗面設備の設置
- 便所の構造と設置場所
その他の設備基準
- 玄関帳場の設置
- 防湿・排水設備
- 飲料水の水質基準
- 外観や広告物の基準
営業後の義務と注意点
旅館業の営業許可を取得した後も、いくつかの義務や注意点があります。
宿泊者名簿の作成・保存
宿泊者名簿の作成と3年間の保存が義務付けられています。外国人宿泊者の場合は、旅券番号の記載も必要です。
施設の変更や営業者変更の届出
施設の構造設備を変更する場合や、営業者が変更になった場合は、10日以内に届け出る必要があります。
衛生管理措置の実施
換気や清掃、消毒など、適切な衛生管理措置を講じる義務があります。特に浴槽水のレジオネラ症対策が重要視されています。
まとめ
旅館業の営業には、旅館業法に基づく営業許可が必要不可欠です。許可を得るためには、施設の構造設備基準を満たすことが大前提となります。申請手続きでは、関係書類の準備と手数料の支払いが求められます。また、営業後も宿泊者名簿の管理や衛生管理措置の実施など、様々な義務を果たす必要があります。旅館業を適切に運営するには、旅館業法をはじめとする関連法規を熟知しておくことが重要です。
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