民泊経営に不可欠! 簡易宿泊業許可の取り方と必要条件を徹底解説

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目次

はじめに

民泊経営を始めるには、簡易宿泊業の許可を取得することが不可欠です。この許可は旅館業法に基づいており、施設の構造設備基準や管理体制など、様々な条件を満たす必要があります。本記事では、簡易宿泊業の許可取得に関する重要ポイントを詳しく解説します。

簡易宿泊業とは

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簡易宿泊業とは、1つの客室を多数の人で共用するような宿泊形態で営業する事業のことを指します。

簡易宿泊業の特徴

簡易宿泊業には、以下のような特徴があります。

  • 客室内のベッドやシャワー、トイレなどを共用する形態
  • 部屋数は5室未満が一般的
  • ドミトリータイプのホステルやバケーションレンタル、一部の民泊が該当
  • 宿泊料が比較的安価である傾向がある
  • 運営者側の固定費を削減できる

このように、簡易宿泊業は宿泊者にとっても事業者にとっても一定のメリットがあります。一方で、法令に基づく許可取得が義務付けられているため、その手続きが重要になってきます。

許可取得の必要性

簡易宿泊業を180日以上営業する場合は、必ず許可を取得する必要があります。無許可営業は違法となり、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。また、公衆衛生上の問題や法令違反などがあれば、許可が下りない可能性もあります。このように、許可取得は簡易宿泊業を適切に運営する上で欠かせません。

多くの自治体では、年間180日未満の短期的な民泊は住宅宿泊事業法に基づく届出で対応できますが、それ以上の長期営業には簡易宿泊業の許可が必須となります。法令を順守し、安全で衛生的な宿泊環境を提供するためにも、適切な許可取得が重要だと言えるでしょう。

簡易宿泊業の許可基準

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簡易宿泊業の許可を取得するには、一定の構造設備基準や管理体制を満たす必要があります。

施設の基準

簡易宿泊業の施設は、以下の基準を満たす必要があります。

  • 客室の延べ床面積が33平米以上であること
  • 適切な換気、採光、照明、防湿、排水設備を備えていること
  • 適切な規模の入浴設備、洗面所、トイレを設置していること
  • 玄関帳場の設置が義務付けられている場合があること

特に客室の床面積基準については、平成28年の規制緩和により、一度に10人未満の宿泊者を受け入れる施設であれば、3.3平方メートル×宿泊者数以上の面積があれば許可対象となりました。この改正により、従来よりも容易に許可を得られるようになっています。

また、一部の自治体では、学校や保育所の周辺では外観の意匠や客室の寝台数について、より厳しい基準が設けられている場合があります。このように、施設の立地条件によっても基準が変わってくるため、事前の確認が重要です。

管理体制の基準

簡易宿泊業を適切に運営するためには、適切な管理体制を整備する必要があります。

  • 宿泊者の出入りを確認できる体制の確保
  • 緊急時の対応体制の整備
  • 宿泊者名簿の適切な管理
  • 衛生管理体制の構築

小規模な民泊の場合は、特別な構造設備は不要とされていますが、宿泊者の出入りを確認できる最低限の体制は求められます。また、緊急時や衛生面での適切な対応が求められるため、事前に十分な準備が必要不可欠です。

このように、施設の構造設備と運営管理体制の両面から、一定の基準を満たすことが簡易宿泊業の許可取得には欠かせません。次に、実際の許可申請手続きについて見ていきましょう。

許可申請の手続き

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簡易宿泊業の許可申請には、様々な手順と書類の準備が必要となります。

事前準備

まずは以下の点を確認し、事前準備を行う必要があります。

  • 物件の所在地が簡易宿泊業の営業に適しているか確認する
  • 建築基準法や消防法など、他の法令についても遵守要件を確認する
  • 用途地域の規制を確認し、簡易宿泊業の営業が可能か確認する
  • 管理組合など、関係者への事前相談を行う

一部の地域では簡易宿泊業の営業が制限されている場合があるため、営業可能かどうかを必ず確認しましょう。また、建築基準法や消防法など、他の法令についても遵守が求められます。分譲マンションの場合は管理規約の確認や、管理組合への相談も欠かせません。

このように、様々な観点から事前準備を行うことで、無駄な手間を省き、スムーズな許可申請につなげることができます。

申請書類の準備

事前準備が整えば、次は申請書類の作成に取り掛かります。主な提出書類は以下の通りです。

  • 営業許可申請書
  • 施設の平面図や配置図など、構造設備を示す図面
  • 付近の見取り図
  • 消防法適合通知書
  • 水質検査結果書
  • 法人の場合は定款の写しなど

これらの書類は、施設の構造設備基準への適合状況を示すものとなります。申請時に不備があると受理されないため、書類作成には十分注意を払う必要があります。

また、手数料として22,000円程度が必要になります。手数料は自治体によって若干の違いがあるため、管轄の保健所に確認しましょう。

申請から許可までの流れ

申請書類の提出後は、以下のような流れで手続きが進みます。

  1. 保健所による現地調査の実施(営業者の立ち会いが必要)
  2. 学校や教育委員会などの関係機関への意見照会
  3. 審査を経て許可/不許可の決定
  4. 許可となった場合は営業許可証が交付される

現地調査では、施設の構造設備基準への適合状況が確認されます。また、学校などの周辺施設がある場合は、意見照会が行われます。これらの手続きを経て、最終的に許可/不許可が決定されます。

審査期間は自治体によって異なりますが、概ね1か月程度を見込む必要があります。許可が下りれば、営業許可証が交付されるので、それを受けて営業を開始できます。

その他の留意点

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簡易宿泊業の許可取得に関して、その他いくつか留意すべき点があります。

営業再開時の手続き

シーズン営業の施設では、毎年営業再開時に再開届の提出が求められます。東京都の一部地域では、レジオネラ症対策として、循環式浴槽を設置している施設に対し、毎月の報告書提出も義務付けられています。

賃借物件での営業

自己所有物件以外で簡易宿泊業を行う場合は、賃貸借契約上の制限や、所有者の許可が必要になります。分譲マンションの場合は、管理規約の確認と管理組合への相談が不可欠です。

継続的な法令遵守

一度許可を取得した後も、継続的な法令遵守が求められます。構造設備の改修時には再度許可が必要となったり、衛生管理体制の維持が求められたりするためです。

まとめ

簡易宿泊業の許可取得は、民泊経営を適切に行う上で欠かせない手続きです。施設の構造設備基準や管理体制を整備し、関係法令を遵守することが許可取得の大前提となります。手続きには時間を要しますが、宿泊者の安全と利便性を確保するためにも、しっかりと対応する必要があります。

本記事で解説したように、申請に向けた様々な手順を確実に踏むことが重要です。自治体の最新の基準を確認し、関係者と綿密な連携を取りながら、丁寧に手続きを進めていきましょう。簡易宿泊業に関する法的責任を果たすことで、将来的な民泊ビジネスの発展につなげていくことができるでしょう。

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