はじめに
小田原市は、箱根や真鶴といった観光地に近接しながらも、静かな住宅街や自然豊かな環境を有する魅力的な街です。近年、この小田原市で民泊事業が注目を集めています。民泊は、一般住宅の一部を宿泊施設として提供する新しいスタイルの宿泊サービスで、旅行者にとってはホテルと違った体験ができ、住民にとっては新しい収入源になります。本日は小田原市における民泊事業について、様々な角度から掘り下げていきます。
民泊事業を始めるために
小田原市で民泊事業を始めるには、いくつかの手続きが必要です。まずは小田原保健福祉事務所への届出が欠かせません。
届出の手順
民泊制度ポータルサイトから登録・ログインし、必要書類を提出する必要があります。外国籍の場合は、特別な添付書類が必要なので注意が必要です。代理人による届出や、複数の住戸・棟での一括届出も可能です。電子署名を利用した電子申請・届出も受け付けています。
届出が済めば、届出番号を取得できます。この番号は公衆の見やすい場所に標識として掲示しなければなりません。
事業者の義務
民泊事業者には様々な義務が課されています。
- 2か月ごとに宿泊日数や宿泊者数を神奈川県知事に報告する
- 宿泊者の衛生・安全・快適性を確保する
- 宿泊者名簿の作成・保管をする
- 周辺地域への悪影響を防止する
事業の変更や廃業時にも、所定の手続きと報告が必要になります。民泊制度運営システムの利用申込や登録メールアドレスの変更も、小田原保健福祉事務所で行う必要があります。
旅館業法に基づく許可申請
民泊とは別に、旅館・ホテル営業、簡易宿所営業、下宿営業を始める場合は、営業開始前に小田原保健福祉事務所で営業許可申請を行い、許可を取得しなければなりません。2022年10月以降は新たな基準に適合する必要があるので注意が必要です。
小田原市の民泊事例
小田原市内にはユニークな民泊施設が存在します。ここでは2つの事例を紹介します。
音楽好きが集まる「Tipy records House」
「Tipy records House」は、音楽好きのための民泊施設です。オーナーの内田佑介さんは、地元に音楽店がなくなったことから、音楽に親しめる場所を作りたいと考え、レコードディスカウントを導入しました。
コロナ禍の影響を受けた同施設は、地元の仲間と協力し、焼き芋屋の開設やテイクアウトサービスの提供など、様々な取り組みを行いました。また、小田原市と連携してお試し移住プログラムを実施し、移住希望者に小田原の魅力を伝えることで、約4割の人が実際に移住を決めるなど、大きな成果を上げています。
移住希望者を支援する取り組み
内田さんが中心となり、お試し移住プログラムを運営しています。このプログラムでは、移住希望者が小田原の地域に溶け込むきっかけづくりを目的とし、参加者同士の交流や地域住民との繋がりを大切にしています。
さらに内田さんは、20代の参加者に小田原との関わりを提供する「ティピーのローカルキャンパス」という企画も立ち上げました。こうした取り組みを通して、小田原市では移住者や若者が地域に溶け込み、小田原を愛する仲間を増やすことを目指しています。
宿泊施設の種類
小田原市や箱根町内の宿泊施設は、大きく分けて以下の2種類があります。
旅館業法に基づく許可施設
旅館・ホテル、簡易宿所、下宿などが該当します。営業するには事前に小田原保健福祉事務所で許可を取る必要があります。
住宅宿泊事業法に基づく届出施設(民泊)
一般住宅の一部を宿泊施設として提供する民泊施設が該当します。簡易宿所として神奈川県の許可を得ている民泊施設もあります。
民泊施設では、標識の掲示や宿泊者への説明、苦情対応など、一定の義務が課されています。違法な民泊が疑われる場合は、小田原保健福祉事務所に連絡・相談することができます。
民泊代行サービス
民泊事業を円滑に運営するため、様々な民泊代行サービスが提供されています。
「みんサポ」による包括的サポート
「みんサポ」は、小田原・箱根エリアに特化した民泊代行会社です。物件の適法性の判断、許認可申請、清掃業務の徹底管理など、民泊運営に必要なサポートを一貫して行っています。
特に同エリアに事業を集中させることで、最新の条例や状況を把握し、最適な収益モデルをご提案することが強みです。物件の仲介・販売、融資コンサルティング、インテリアコンサルティングなど、幅広いサービスを提供しています。
小田原市の民泊サポート
小田原市自身も、民泊事業者向けに様々なサービスを提供しています。
- 物件の仲介
- リフォーム
- インテリアコーディネート
- 家具家電の設置
- 予約管理
- 鍵の受け渡し
- 清掃やリネンの管理
- レポートの作成
また、清掃やリネン交換のみのサービスも提供されており、お客様のニーズに合わせてカスタマイズしたプランをご提案いただけます。
まとめ
小田原市の民泊事業は、観光客の受け入れ促進や移住希望者の支援、地域活性化など、様々な効果が期待されています。一方で、事業を適切に運営するためには、届出や報告、周辺地域への配慮など、守るべき義務もあります。
民泊を検討されている方は、手続きの把握と事業者の義務を理解した上で、必要に応じて民泊代行サービスを活用するのが賢明でしょう。小田原市の魅力を活かしながら、持続可能な民泊事業の発展を願っています。