はじめに
民泊やゲストハウス、簡易宿泊所の運営を検討している方は多いでしょう。住宅や空きスペースを有効活用できる手軽な事業として注目されていますが、法的には「簡易宿泊業」として扱われ、一定の基準を満たす必要があります。本記事では、簡易宿泊業の許可取得に関する重要ポイントをお伝えします。旅館業法の概要から、具体的な設備基準や手続きまで、わかりやすく解説していきます。
簡易宿泊業の概要
簡易宿泊業とは、宿泊施設の一形態として、旅館業法で定められた営業です。多数の宿泊客が客室を共用する構造や設備を備えた施設で、宿泊料を受けて人を宿泊させることを指します。
簡易宿泊業の種類
簡易宿泊業には、以下のような施設が含まれます。
- 民泊施設
- ユースホステル
- カプセルホテル
- 山小屋など季節限定の宿泊施設
許可を得るメリット
簡易宿泊業の許可を得ることで、合法的に宿泊事業を行うことができます。また、以下のようなメリットがあります。
- 宿泊客の安全が確保されている
- 公衆衛生上の問題がない
- 適切な設備が設置されている
許可を得ずに営業した場合、6か月以下の懲役や100万円以下の罰金が科される可能性があります。
法改正による変更点
平成30年6月15日の法改正により、ホテル営業と旅館営業が「旅館・ホテル営業」に一本化されました。また、簡易宿所営業の許可基準が緩和され、より容易に許可を得られるようになりました。
一方で、令和5年12月13日の改正で、宿泊拒否事由の追加や感染防止対策の充実、差別防止の徹底などが義務付けられました。最新の法令を確認する必要があります。
許可取得の手順
簡易宿泊業の許可を取得するためには、以下の手順を踏む必要があります。
事前相談
まずは施設所在地を管轄する保健所に事前相談を行い、必要な書類や手続きについて確認しましょう。構造設備基準や消防法令、建築基準法などの関係法令についても説明を受けられます。
相談の際は、予定している施設の概要や立地条件、営業形態などを伝えると、より具体的なアドバイスが得られます。
申請書類の準備
次に、以下の書類を準備する必要があります。
- 旅館業営業許可申請書
- 構造設備の概要申告書
- 施設の見取り図や平面図
- 消防法令適合通知書の写し
- 定款や履歴事項全部証明書(法人の場合)
- 付近見取図
申請者が一定の要件に該当する場合は許可が下りない可能性があるため、要件を確認しましょう。
許可手数料の支払い
許可申請時に、通常22,000円の手数料が必要となります。自治体によって金額が異なる場合があります。
施設検査
提出書類の審査に続いて、施設の実地検査が行われます。構造設備基準や衛生管理体制などが確認されます。
検査で指摘事項があった場合は改善が必要で、再検査を受ける必要があります。
許可指令書の交付
すべての要件を満たせば、許可指令書が交付されます。指令書が出た時点で営業を開始できます。
構造設備基準
許可を得るためには、施設の構造設備が一定の基準を満たしている必要があります。主な基準は以下の通りです。
客室の床面積
- 一般客室の場合、7平方メートル以上
- 寝台を置く場合は9平方メートル以上
客室が狭すぎると、換気や採光が適切に確保できない恐れがあります。面積基準は、宿泊客の快適性と衛生面を考慮した数値となっています。
浴室の設置
男女別の浴室を設置する必要があります。ただし、客室の延床面積が33平方メートル未満の場合は、この限りではありません。
浴室は清潔に保たれている必要があり、使用状況に応じて適切な換気や排水設備が求められます。
その他の設備基準
- 適切な換気設備、採光、照明設備
- 防湿対策が施された構造
- 清潔な寝具の保管設備
- 性的好奇心をそそるおそれのある設備の禁止
換気が不十分だと、カビの発生や空気の質の悪化につながります。また、採光や照明が適切でないと、宿泊客の安全が脅かされます。
寝具の衛生管理も重要で、清潔な状態での保管が求められています。
特例措置
一部の施設については、構造設備基準の一部が緩和される特例措置があります。
季節限定の施設
例えば山小屋のように、季節によって営業期間が限られる施設の場合、一部の設備基準が適用除外となることがあります。
ただし、宿泊客の安全性や公衆衛生上の支障がない場合に限られます。具体的な適用範囲は保健所に相談が必要です。
立地特例
交通の便が悪い地域にある施設で、代替施設の確保が困難な場合も、基準が緩和される可能性があります。
このような特例を適用するかは、施設の実態を精査した上で個別に判断されます。
まとめ
簡易宿泊業の許可取得には、構造設備の基準を満たすことが何より重要です。客室の面積や設備の状況を確認し、法令に適合させる必要があります。
また、申請手続きでは保健所との綿密な連携が欠かせません。事前相談を行い、必要書類の確認や施設検査への対応を怠らないようにしましょう。
許可を得れば、安全で衛生的な簡易宿泊施設の運営が可能になります。長期的に安定した事業を行うためにも、許可取得は必須のプロセスと言えるでしょう。