民泊と旅館業法の関係を徹底解説!合法的な民泊運営のポイント

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目次

はじめに

民泊サービスが近年普及し、宿泊業界に新たな選択肢をもたらしました。しかし一方で、無許可の違法な民泊も存在し、地域住民からの苦情や治安上の問題が生じています。そこで、民泊の健全な発展と適正な管理を目的として、旅館業法および住宅宿泊事業法が制定されました。本記事では、これらの法律と民泊の関係について詳しく解説します。

民泊と旅館業法

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旅館業法は、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を規制する法律です。民泊サービスは基本的にこの法律の適用対象となり、許可が必要となります。

旅館業の定義と許可制度

旅館業とは、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。旅館業には、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業の4種類があり、それぞれ都道府県知事の許可が必要です。申請にあたっては、施設の構造設備基準を満たす必要があります。

近年、簡易宿所営業の許可基準が緩和されたことで、民泊サービスの合法化に向けた議論が行われています。簡易宿所営業は一度に10人未満の宿泊者を受け入れる施設が対象で、許可取得がより容易になりました。ただし、建物の所有者から同意を得る必要があり、分譲マンションの場合は管理規約の確認が欠かせません。

無許可民泊の罰則

旅館業法では、無許可で宿泊料を受けて人を宿泊させる場合、罰則の対象となります。個人が自宅の一部を宿泊施設として提供する場合も、営利目的がなくても宿泊料を受け取れば違法となります。

一方、知人や友人を無料で宿泊させる場合は、「社会性をもって継続反復されているもの」とは見なされず、許可は不要です。

イベント開催時の一時的民泊

イベント開催時に一時的に民泊サービスを提供する場合、旅館業法の許可なしで実施できる可能性があります。ただし、一定の要件を満たす必要があるため、事前に関係機関に確認することが重要です。

住宅宿泊事業法(民泊新法)と特区民泊

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民泊の健全な発展と適正な管理を目的として、2018年に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されました。また、国家戦略特別区域法に基づく特区民泊の制度も設けられています。

住宅宿泊事業法の概要

住宅宿泊事業法では、事業者が自身の住宅を提供して宿泊サービスを行うことが可能となりました。ただし、年間提供日数は180日以内に制限されています。事業開始には、市区町村への届出が必要です。

届出には、「誓約書」や「賃貸人の承諾書」などの書類の添付が求められます。外国籍の事業者は、さらに「住民票の写し」や「在留カードの写し」の提出が必要となります。届出情報は警察、消防、市町村などに提供されます。

特区民泊の制度

国家戦略特別区域法に基づく特区民泊は、文化交流を目的とした制度です。当初は6泊7日以上の滞在が条件でしたが、後に2泊3日に緩和されました。特区民泊を行うには、住宅宿泊事業法とは別に、国家戦略特別区域会議の認定を受ける必要があります。

住宅宿泊事業法と特区民泊の違い

住宅宿泊事業法と特区民泊には、いくつかの違いがあります。

  • 営業日数の制限: 住宅宿泊事業法は180日以内、特区民泊には制限なし
  • 宿泊者数の制限: いずれにも制限なし
  • 苦情受付: 住宅宿泊事業法は家主/管理業者、特区民泊は事業者
  • フロントの設置義務: 住宅宿泊事業法にはなし、特区民泊は不明
  • 客室の延床面積: 特区民泊で一定の基準あり、住宅宿泊事業法にはなし

民泊の運営と義務

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民泊を適正に運営するためには、様々な義務を果たす必要があります。消防法令の規制や、食事の提供には飲食店営業の許可が必要です。また、分譲マンションでの民泊は管理規約で明確化しておく必要があります。

宿泊者名簿の作成と保存

民泊事業者は、宿泊者名簿の正確な記載が義務付けられています。宿泊者の氏名、住所、職業、宿泊日を記載し、外国人の場合は国籍と旅券番号も記載する必要があります。2025年の大阪・関西万博に向けては、外国人宿泊者の旅券の写しの保存も求められています。

作成した宿泊者名簿は3年間保存し、届出住宅や事業所に備え付ける必要があります。

施設の標識掲示と管理

民泊施設には、公衆の見やすい場所に標識を掲示しなければなりません。標識には施設情報と連絡先を記載する必要があります。また、周辺地域への影響防止や苦情対応など、適正な運営が求められています。

変更や廃業の届出、定期報告

民泊事業者は、住所や氏名の変更があった場合、遅滞なく届け出る必要があります。また、事業を廃止する場合も同様に届出が必要です。さらに、毎年6月30日までに、前年の宿泊者数などを報告しなければなりません。

地方自治体の取り組み

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民泊の適正な運営を促すため、自治体独自の取り組みも行われています。例えば、箱根町では「民泊の手引き」や「簡易宿所(ゲストハウス)の手引き」を作成し、地域と調和した健全な民泊を推進しています。

小田原保健福祉事務所への届出

神奈川県内で民泊を営む場合は、小田原保健福祉事務所への届出が必要です。届出の際には、様々な書類の提出が求められます。

マンション管理規約の確認

分譲マンションで民泊を行う場合は、事前に管理規約を確認し、民泊を営むことを禁止する定めがないことを確認する必要があります。

簡易宿所営業の許可取得

簡易宿所営業を行う場合は、旅館業法に基づき都道府県知事の許可を得る必要があります。箱根町では、簡易宿所を巡る近隣トラブルが多発したことから、適正な運営を促す「簡易宿所(ゲストハウス)の手引き」を作成しています。

違法民泊への対策

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無許可の違法民泊への取り締まりも強化されています。例えば大阪市では、「違法民泊通報窓口」や「大阪市違法民泊撲滅チーム」を設置し、違法民泊の排除に努めています。

適法な施設の確認

民泊サービスを利用する際は、施設が以下のいずれかの許可や届出を受けていることを確認することが重要です。

  • 旅館業法に基づく許可施設
  • 特区民泊の認定施設
  • 住宅宿泊事業法の届出施設

これらの施設は、感染症対策や近隣住民への配慮など、一定の基準を満たしています。一方で、無許可の違法民泊施設も存在するため、適法な施設であることを確認することが必要不可欠です。

通報窓口の活用

違法な民泊が疑われる場合は、自治体の通報窓口に連絡することができます。大阪市の場合、専用の「違法民泊通報窓口」が設置されており、匿名での通報も可能です。

まとめ

民泊サービスを健全に発展させるためには、法令を理解し、適切な手続きを踏むことが重要です。旅館業法と住宅宿泊事業法(民泊新法)は、民泊を規制する中心的な法律です。前者は無許可での営業を禁止し、後者は180日以内の営業を認める一方で様々な義務を課しています。また、特区民泊など、他の制度もあります。さらに、消防法令や飲食店営業の許可、マンション管理規約への対応など、様々な注意点があります。地域によっては独自の取り組みもあり、自治体の指針に従うことが求められます。違法民泊には罰則が設けられていますが、通報窓口の活用により排除されつつあります。民泊サービスを提供する際は、関連法令や自治体の指針を十分に確認し、適正な手続きを踏むことが不可欠です。

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