宿泊業許可の取得方法と最新法改正ガイド

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目次

はじめに

宿泊業を営むためには、旅館業法に基づく営業許可を受ける必要があります。この法律は、宿泊施設の衛生管理や安全性を確保し、利用者の権利を守ることを目的としています。近年、民泊サービスの普及に伴い、簡易宿所営業の許可要件が緩和されるなど、旅館業法の改正が行われています。本記事では、旅館業の許可申請から営業開始までの流れや、注意すべき点を詳しく解説します。

旅館業法の概要

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旅館業法は、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」を規制する法律です。旅館業には「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3種類があり、それぞれ施設の構造設備基準が異なります。この法律により、宿泊施設の安全性や衛生面での最低基準が定められています。

旅館業の許可が必要な場合

不特定多数の人を宿泊させ、宿泊料を受け取る場合は、旅館業の許可が必要となります。例えば、自宅の一部を民泊として貸し出す場合も、許可が必要です。ただし、知人や友人を無償で宿泊させる場合は対象外となります。

また、実質的に宿泊料を受け取っている場合も許可が必要です。例えば、「体験料」と称しながら実質的に寝具や部屋の使用料を徴収している場合などが該当します。

旅館業の種類と基準

旅館業には以下の3種類があり、それぞれ構造設備基準が異なります。

  • 旅館・ホテル営業: 客室の広さや設備、浴室、便所などの基準が最も厳しい
  • 簡易宿所営業: 2016年の法改正で、宿泊者が10人未満の場合は1人当たり3.3㎡以上の面積基準に緩和された
  • 下宿営業: 長期的な宿泊を想定した基準

民泊サービスを行う場合は、簡易宿所営業の許可を取得する必要があります。

旅館業法の改正点

2023年12月13日に旅館業法が改正され、以下の点が変更されました。

  • 特定感染症の感染防止対策の強化
  • 宿泊拒否の事由の明確化
  • 事業譲渡時の営業者地位承継手続きの新設

特に感染症対策と宿泊拒否事由の明確化は、利用者の安全確保と適切な宿泊サービスの提供に資するものです。

許可申請の手順

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旅館業の営業許可を取得するには、所在地を管轄する保健所に申請する必要があります。申請手順と必要書類は以下の通りです。

事前相談

まず、保健所の生活衛生課に事前相談を行い、関連法令や手続きについて確認します。この際、来所日時の予約も行います。保健所によっては、建築や消防の関係機関との事前相談も求められる場合があります。

事前相談の際には、営業を予定している施設の構造設備の概要を説明し、基準への適合状況を確認します。保健所から指導を受け、不備がある場合は修正を行います。

申請書類の準備

次に、以下の書類を準備します。

  • 営業許可申請書
  • 施設の構造設備の概要書
  • 付近見取図
  • 配置図および平面図
  • 法人の場合は定款や寄付行為の写し
  • 建築確認書
  • 水質検査結果
  • 消防法令適合通知書

申請者によっては、さらに追加の書類が必要となる場合があります。

申請と審査

書類が全て整ったら、保健所に営業許可申請を行います。申請時に手数料(22,000円)の納付が必要です。申請から許可までは、通常2週間程度かかります。

保健所では、書類審査と併せて施設の実地検査を行います。構造設備基準への適合状況や、衛生管理体制などが審査されます。問題がなければ、営業許可書が交付されます。

開業後の義務

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営業許可を得た後も、宿泊業者には様々な義務が課されています。主なものは以下の通りです。

宿泊者名簿の作成・保存

宿泊者の氏名、住所、宿泊日などを記録した宿泊者名簿を作成し、3年間保存しなければなりません。この名簿は保健所の求めに応じて提出する必要があります。

設備の変更届

施設の増改築や移転、営業者の変更などがあった場合は、変更届の提出が必要です。大規模な変更の際は、再度許可申請が求められる場合もあります。

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季節営業の場合は、営業再開時に再開届の提出が必要です。循環式浴槽を設置している場合は、衛生管理状況報告書の提出も求められます。

立入検査への対応

保健所の職員による立入検査があった場合は、これに協力する義務があります。検査では施設の衛生管理状況などが確認されます。

まとめ

旅館業を適切に営むためには、旅館業法の理解と遵守が欠かせません。許可申請にあたっては、事前の相談と準備が重要です。開業後も宿泊者名簿の作成や設備変更の届出など、様々な義務を怠ることなく対応しなければなりません。

旅館業の健全な発展と、利用者の安全・衛生の確保のためにも、関係法令を十分に理解し、適切な手続きを行うことが求められます。本記事が宿泊業を営む際の一助となれば幸いです。

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