はじめに
近年、日本社会における外国人材の活用が重視されるようになり、出入国管理及び難民認定法(通称「入管法」)の改正が相次いで行われています。本ブログでは、入管法の最新動向や外国人受け入れ施策、企業が注意すべき点などについて解説します。
入管法改正の動向
入管法は、昨今の社会情勢の変化に応じて度々改正されています。ここでは、最近の主な改正内容を振り返ります。
2019年改正
2019年4月に施行された改正では、新たな在留資格「特定技能」が創設されました。これにより、人手不足が深刻な産業分野で即戦力となる外国人を受け入れることが可能になりました。
「特定技能1号」は相当程度の知識や経験を持つ外国人に与えられ、最長5年の在留が認められます。一方、「特定技能2号」は高度な技能を持つ外国人に与えられ、更新回数に制限がなく長期就労が可能です。
2023年改正
2023年6月に成立した最新の改正では、難民認定の申請が3回目以降の場合、「相当な理由」を示さないと本国への強制送還が可能になりました。また、新たに「補完的保護」制度が創設され、難民には該当しないが紛争などから逃れてきた人の保護が図られることになりました。
さらに、退去命令を受けたにもかかわらず送還を妨害した場合の刑事罰が新設されるなど、出入国管理の強化が図られています。一方で、この改正に対しては、難民不認定の可能性があるといった批判も寄せられています。
外国人受け入れ施策の動向
人口減少や労働力不足を背景に、日本政府は外国人材の積極的な受け入れに取り組んでいます。
特定技能制度
2019年の入管法改正により創設された「特定技能」制度は、外国人材の受け入れ拡大を目的としています。この制度では、以下の2つの在留資格が設けられています。
- 特定技能1号: 相当程度の知識や経験を持つ外国人に与えられ、最長5年の在留が可能
- 特定技能2号: 高度な技能を持つ外国人に与えられ、更新回数に制限がなく長期就労が可能
特定技能制度の対象分野は、介護、建設、宿泊、農業、飲食料品製造業など14分野に及びます。企業は、この制度を活用して外国人材を確保することができます。
技能実習制度
2017年の入管法改正により、技能実習制度の適正な実施が図られました。技能実習制度は、開発途上国の人材に対し、日本の技術や知識を移転する目的で創設された制度です。
改正後は、実習生の保護強化や実習監理団体の指導監督の強化など、制度運用の適正化が進められています。企業は、この制度を適切に活用することが求められます。
企業が注意すべき点
外国人を雇用する際は、入管法や関連制度を十分に理解する必要があります。ここでは、企業が注意すべき主な点を解説します。
在留資格と在留期間の確認
外国人を雇用する際は、その外国人の在留資格と在留期間を必ず確認しなければなりません。在留カードや旅券の上陸許可証印で確認できます。在留資格の範囲内で就労が認められているか、在留期間を過ぎていないかを確認する必要があります。
不明な点がある場合は、地方出入国管理局に照会して確認することができます。違法な外国人雇用は、罰則の対象となる可能性がありますので、注意が必要です。
外国人雇用に関する法令遵守
外国人を雇用する際は、入管法のみならず、労働関係法令等の関連法令も遵守する必要があります。以下は、主な関連法令の例です。
- 労働基準法
- 最低賃金法
- 雇用対策法
- 労働安全衛生法
外国人労働者に対しても、日本人労働者と同様に労働関係法令が適用されます。企業は、これらの法令を熟知し、適切な雇用管理を行う必要があります。
まとめ
入管法は、日本における外国人の受け入れ環境を大きく左右する重要な法律です。企業は、外国人材の活用に向けて、入管法の最新動向や関連制度を理解することが不可欠です。今後も、人口減少や労働力不足への対応として、外国人材の受け入れ拡大が進められていくことが予想されます。企業は、法令を遵守しつつ、外国人材の確保に努める必要があるでしょう。