はじめに
技術者や専門家の皆さんは、日本での就労に際して「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が必要となります。この資格を更新するためには、様々な書類の提出が求められます。今回は、技人国ビザの更新に必要な書類について詳しく解説していきます。
企業のカテゴリーによる違い
技人国ビザの更新に必要な書類は、申請者が所属する企業のカテゴリーによって異なります。ここでは、企業のカテゴリー別に必要書類を見ていきましょう。
カテゴリー1:上場企業など
上場企業や一定規模以上の企業は、カテゴリー1に該当します。このカテゴリーの企業に勤務する場合、必要書類は以下の通りです。
- 四季報の写し
- 上場証明書
- 申請人の専門学校の卒業証明書など
上場企業であれば、財務状況が安定していることが認められるため、書類の準備が比較的簡単です。
カテゴリー2:前年の源泉徴収税額が1,500万円以上の企業
前年度の源泉徴収税額が1,500万円以上の企業は、カテゴリー2に該当します。このカテゴリーの企業に勤務する場合、必要書類は以下の通りです。
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
源泉徴収税額が一定額以上あれば、企業の財務基盤が安定していると判断されます。
カテゴリー3:前年の源泉徴収税額が1,500万円未満の企業
前年度の源泉徴収税額が1,500万円未満の企業は、カテゴリー3に該当します。このカテゴリーの企業に勤務する場合、必要書類は以下の通りです。
- 登記事項証明書
- 定款の写し
- 会社案内
- 直近年度の決算書
- 前年分の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
中小企業の場合、財務状況だけでなく事業内容も重視されるため、より多くの書類が必要となります。
申請者に関する書類
企業に関する書類以外にも、申請者自身についての書類の提出が求められます。ここでは、申請者に関する主な必要書類を紹介します。
学歴を証明する書類
技人国ビザを取得するためには、原則として4年制大学以上の学歴が必要です。そのため、以下の書類の提出が求められます。
- 大学の卒業証明書
- 専門学校の卒業証明書
- 成績証明書
学歴要件を満たしていることを証明する書類は欠かせません。留学生の方は、母国の大学の証明書類も必要となる可能性があります。
実務経験を証明する書類
4年制大学卒業以外の要件として、10年以上の実務経験が認められる場合があります。その際には、以下の書類が必要になります。
- 過去の勤務先が発行した在職証明書
- 職務内容説明書
ただし、過去の勤務先が倒産や解散している場合は、実務経験を十分に証明できない可能性があるため注意が必要です。
その他の必要書類
上記以外にも、以下のような書類の提出が求められる場合があります。
- 日本語能力試験の合格証明書
- 住民税の納税証明書
- 健康保険証のコピー
生活面での問題がないことを示す書類も重要視されます。特に税金の未納があると、ビザの更新が難しくなる可能性があります。
転職時の必要書類
転職に伴い、新しい勤務先で技人国ビザの更新手続きをする場合、より多くの書類が必要となります。ここでは、転職時に追加で必要となる主な書類を紹介します。
新規申請と同様の書類
転職時の更新手続きは、新規の技人国ビザ申請と同様の扱いとなります。そのため、以下のような書類が必要になります。
- 新しい勤務先の登記事項証明書
- 新しい雇用契約書
- 新しい職務内容説明書
転職先企業の事業内容や、申請者の新しい職務が技人国ビザの対象業務に該当することを証明する必要があります。
追加書類の提出
さらに、入国管理局から追加書類の提出を求められる場合もあります。例えば、以下のような書類が求められることがあります。
- 申請内容の詳細な説明書
- 外国人従業員リスト
転職の経緯や、新しい職務内容について疑義が持たれた場合、より詳細な説明が求められるのです。
就労資格証明書の取得
転職時には、就労資格証明書の取得をおすすめします。この証明書があれば、企業に関する書類の提出が不要になるなど、更新手続きが簡略化されます。
ただし、就労資格証明書の取得には一定の要件があり、取得が認められない場合もあります。事前に十分な確認が必要です。
更新手続きの流れ
技人国ビザの更新手続きは、以下の流れで行われます。
事前準備
まずは、必要書類を確認し、揃えておく必要があります。企業のカテゴリーや転職の有無によって、必要書類は大きく異なります。不足書類がないよう、十分な時間を確保することが重要です。
申請
必要書類が揃えば、地方入国管理局に出頭して申請を行います。申請時に、手数料の納付が必要となります。
審査
申請後は、提出書類に基づいて審査が行われます。審査期間は1か月から3か月程度かかる場合がありますので、余裕を持って申請することが重要です。
許可または不許可の通知
審査の結果、許可となれば新しい在留カードが交付されます。不許可の場合は、理由を確認し、再申請などの対応が必要となります。
まとめ
技人国ビザの更新には、企業のカテゴリーや転職の有無によって、様々な書類の準備が必要となります。申請者の学歴や実務経験、生活状況に関する書類も欠かせません。転職時には新規申請と同様の扱いとなるため、特に多くの書類が求められます。更新手続きは時間を要するため、早めに準備を始めることが重要です。書類の不足や不備があると、許可が下りない可能性もあります。ビザの更新は、在留期間満了の3か月前から手続きが可能です。技術者や専門家の皆さんは、期限に余裕を持って手続きを進めていきましょう。