はじめに
外国人材を雇用する際、就労ビザの取得は必須の手続きとなります。就労ビザには複数の種類があり、その在留期間は資格や職務内容によって異なります。本記事では、就労ビザの在留期間について詳しく解説します。
就労ビザの種類と在留期間
まず、就労ビザの種類と在留期間の概要を確認しましょう。
「技術・人文知識・国際業務」
代表的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」の在留期間は、最長5年、最短3カ月です。多くの場合、初回は1年が付与され、その後は状況に応じて3年または5年の更新が可能です。
この資格は、専門的な知識や技術を必要とする職種に付与されます。ITエンジニアや通訳・翻訳者、法務や経理の専門職などが対象となります。採用企業の規模や、外国人材の実績などを総合的に判断し、在留期間が決定されます。
「特定技能」
2019年に新設された在留資格「特定技能」には、1号と2号があります。
- 特定技能1号 : 在留期間は最長1年、最短4カ月(最大5年以内)
- 特定技能2号 : 在留期間は最長3年、最短6カ月
この在留資格は、人手不足が深刻な産業分野で外国人材を受け入れるために作られました。特に、建設や介護、外食産業などが対象となっています。熟練した技能を持つ外国人材に付与されるため、一定の実務経験が求められます。
「高度専門職」など
高度な専門性を持つ外国人には、「高度専門職」の在留資格が与えられます。この場合、一律5年の在留期間が付与されます。高度人材については永住許可の要件も緩和されるなど、優遇措置があります。
その他、「経営・管理」「技能」「興行」など、職種に応じた在留資格があり、在留期間は1年から5年の範囲で設定されています。
在留期間と更新手続き
就労ビザの在留期間満了後も引き続き日本で就労したい場合は、期間満了の3カ月前から更新手続きを行う必要があります。
更新申請の審査期間
更新申請の審査期間は、通常2週間から1カ月程度とされています。ただし、申請者の経歴や企業の状況、申請書類の不備などによって、さらに時間がかかる可能性があります。
更新申請の審査では、就労実績や納税状況、企業の経営状態などが考慮されます。トラブルがなく適切に就労していれば、比較的スムーズに更新できるでしょう。
職場の変更と在留資格の変更
職場を変更する場合、新しい職務内容に合わせて在留資格を変更する必要があります。この場合の審査期間は、1カ月から2カ月程度かかることがあります。
在留資格の変更申請では、学歴や職歴、新しい職務との関連性などが審査されます。変更に伴い報酬が大幅に変わる場合は、さらに注意が必要です。
留学生の新卒採用
日本の大学や専門学校を卒業した留学生の新卒採用の場合、「留学」の在留資格から就労ビザに変更する必要があります。通常、申請は前年の12月から可能で、2月中旬までに審査結果が出るパターンが多いようです。
留学生の場合、学んだ専門分野と就職先の業務内容の関連性が重視されます。会社概要と共に、カリキュラムの内容などを示す必要があります。
審査期間に影響する要因
就労ビザの申請から許可までの期間は、様々な要因によって変動します。主な要因を確認しましょう。
申請書類の不備
申請書類に不備や記入漏れがあると、審査がスムーズに進まず大幅に期間が延びる可能性があります。必要書類を漏れなく準備し、正確に記入することが重要です。
外国人材の学歴や職歴、日本語能力に関する書類、採用企業の企業概要や業務内容の説明資料などが必須となります。不明な点は事前に相談し、確実に準備しましょう。
申請時期
申請時期によっても審査期間は変わります。出入国在留管理局は、2月から5月にかけて申請が集中する傾向にあります。この時期を避けるか、余裕を持って申請することをおすすめします。
雇用の時期によっては、余裕を持った申請が難しい場合もあります。その際は、行政書士に依頼するなどして、できる限り早期のビザ取得を目指しましょう。
雇用企業の状況
就労ビザの審査では、雇用企業の企業規模や経営状況、外国人材の受け入れ体制などが確認されます。企業の安定性や適切な雇用環境が整っていることが重視されます。
中小企業で外国人材を雇用する場合は、財務状況や事業内容をより詳細に説明する必要があるかもしれません。企業の状況次第で審査期間が変わることに留意しましょう。
企業が注意すべきポイント
外国人材の就労ビザに関して、企業が注意すべき重要なポイントをまとめました。
在留期間の確認と更新手続き
外国人従業員の在留期間と有効期限を常に確認し、更新の時期を逃さないようにしましょう。不法就労となるリスクがあるため、在留期間の管理は欠かせません。
更新手続きの時期が近づいたら、速やかに書類を準備するよう従業員に指示しましょう。必要に応じて、企業側でもサポートを行いましょう。
適切な雇用条件の提示
就労ビザの審査では、外国人材に対する適切な雇用条件が問われます。賃金水準や労働時間、福利厚生などが、日本人と同等以上であることが求められます。
劣悪な条件では在留期間の更新が許可されない可能性があるため、適正な雇用環境の整備が不可欠です。特に中小企業は留意が必要でしょう。
外国人材のサポート体制
外国人材がトラブルに巻き込まれないよう、企業側からのサポートが重要です。日本の生活習慣や就業ルールについて周知し、コミュニケーションを密に取ることが求められます。
外国人材が職場になじめるよう、日本語教育の提供なども検討しましょう。企業として外国人材を受け入れるための体制づくりに力を入れることが大切です。
まとめ
就労ビザの在留期間は、技術や職種、外国人材の経歴、企業の状況などによって異なります。期間満了後は更新手続きが必要となり、企業側でもサポートが求められます。
審査期間にもばらつきがあるため、十分な余裕を持って準備することが肝心です。企業は外国人材の在留期間を常に把握し、適切な雇用環境を整備しましょう。外国人材の活躍は企業の成長に欠かせません。就労ビザ取得を円滑に行い、グローバル人材の確保に努めましょう。