住宅宿泊管理業者申請のすべて|登録要件から手続きまで解説

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目次

はじめに

住宅宿泊管理業者とは、民泊施設の管理業務を行う事業者のことを指します。2018年6月に施行された住宅宿泊事業法により、民泊の代行業者は「住宅宿泊管理業者」として国土交通大臣に登録を義務付けられました。本記事では、住宅宿泊管理業者になるための要件や申請手続き、業務内容などについて詳しく解説していきます。

登録要件

Real estate

住宅宿泊管理業者となるためには、以下の要件を満たす必要があります。

財産的基礎

負債の総額が資産の総額を上回っておらず、支払い不能の状態にないことが求められます。財産調書や決算書の提出が必要となります。

個人の場合は自身の財産状況、法人の場合は法人の財務状況の健全性が審査されます。

資格等

個人の場合、以下のいずれかの資格または実務経験が必要です。

  • 住宅の取引や管理に関する契約の実務に2年以上従事した経験
  • 宅地建物取引士の資格
  • 管理業務主任者の資格
  • 賃貸不動産経営管理士の資格

法人の場合は、上記の資格または実務経験を有する従業員を雇用していることが条件となります。また、宅地建物取引業者、マンション管理業者、賃貸住宅管理業者の登録を受けていることでも要件を満たします。

体制整備

住宅宿泊管理業務を適切に実施するための体制が整備されていることが求められます。具体的には以下の点が挙げられます。

  • 苦情対応体制
  • 遠隔からの業務遂行体制
  • 従業員への教育体制
  • 法令遵守体制

これらの体制を構築し、人員体制図や業務マニュアルなどの書類を提出する必要があります。

申請手続き

housing

住宅宿泊管理業者として登録するには、国土交通大臣への申請が必要です。主な申請書類は以下の通りです。

申請書

住宅宿泊管理業登録申請書に、以下の事項を記載します。

  • 氏名または名称及び住所
  • 法人の場合は役員の氏名や営業所の所在地
  • 資格や実務経験の有無

申請書様式はダウンロードできるほか、記載例も参照できます。

添付書類

申請書に加え、以下の書類の提出が求められます。

個人 法人
  • 略歴書
  • 誓約書
  • 財産調書
  • 納税証明書
  • 登記事項証明書
  • 定款の写し
  • 決算書類
  • 役員の関連書類

自治体によっては、上記以外の書類の提出を求められる場合があります。

手数料

登録申請には、以下の手数料が必要です。

  • 新規申請時: 登録免許税90,000円
  • 更新申請時: 収入印紙19,700円(事前確認が必要)

更新の際の手数料については、最新情報を確認する必要があります。

業務内容

housing

住宅宿泊管理業者は、民泊施設の適切な運営のため、以下の業務を行います。

苦情対応

近隣住民からの苦情に適切に対応する体制を整備する必要があります。騒音やゴミ出しのトラブルなどに、速やかに対応できるよう、連絡体制を構築しておく必要があります。

苦情に対する対応記録の作成、保存も義務付けられています。

本人確認

宿泊者の本人確認を適切に行わなければなりません。チェックイン時に宿泊者の運転免許証や旅券(パスポート)等の本人確認書類を確認し、宿泊者名簿への記載が義務付けられています。

不審な宿泊者がいた場合は、速やかに対応できる体制が求められます。

鍵の管理

宿泊施設の鍵の適切な管理が求められます。遠隔での鍵の受け渡しが可能な体制を整備する必要があります。

不審者が鍵を入手しないよう、厳重な管理が求められる一方で、宿泊者が円滑にチェックイン・チェックアウトできるよう、利便性の高い体制も求められます。

安全対策

賠償責任保険への加入が義務付けられており、宿泊中の事故に備える必要があります。また、防災設備の設置や非常時の対応マニュアルの整備なども求められます。

管理業者は、宿泊施設の安全性を常に確保する責任があります。

罰則

law

住宅宿泊管理業者には、法令順守が強く求められます。違反した場合は、以下のような罰則が課されることがあります。

業務停止命令

法令に違反した場合、国土交通大臣から業務の一部または全部の停止を命じられることがあります。業務停止期間中は営業ができなくなるため、事業に重大な影響が出ます。

軽微な違反であれば、業務改善命令が出される可能性もあります。

登録取消し

重大な法令違反や資格要件を満たさなくなった場合、国土交通大臣は住宅宿泊管理業者の登録を取り消すことができます。登録取消しとなれば、民泊施設の管理業務はできなくなります。

法令順守が徹底されていないと判断された場合にも、登録取消しの可能性があります。

過料等

違反の内容によっては、過料や罰金が課されることもあります。例えば、以下のような場合に過料が課されます。

  • 帳簿の記載義務違反(30万円以下の過料)
  • 広告規制違反(30万円以下の過料)
  • 報告徴収義務違反(20万円以下の過料)

悪質な場合は、刑事罰(懲役や罰金刑)が科される可能性もあります。

まとめ

住宅宿泊管理業者は、民泊施設の適切な運営に欠かせない存在です。登録には様々な要件を満たす必要があり、申請手続きも複雑になっています。一方で、違反した場合の罰則は重く、常に法令遵守が求められます。申請に当たっては、書類の準備や体制整備を確実に行う必要があります。民泊を円滑に運営するためにも、住宅宿泊管理業者の役割は重要であり、適切な業務遂行が不可欠です。

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