はじめに
住宅宿泊管理業者の登録申請は、民泊事業を適切に運営するための重要な手続きです。この制度は、宿泊者の安全確保や近隣トラブルの防止などを目的としています。登録申請には様々な要件が定められており、申請者は十分な準備が必要となります。本記事では、住宅宿泊管理業者の登録申請について、より詳しく解説していきます。
登録申請の要件
住宅宿泊管理業者の登録申請には、いくつかの重要な要件が定められています。まずは、これらの要件について確認していきましょう。
財産的基礎
申請者の財産的基礎が健全であることが求められます。具体的には、以下の条件を満たす必要があります。
- 負債の合計額が資産の合計額を超えないこと
- 支払い不能に陥っていないこと
これらの条件を満たすことで、事業を適切に運営できる財政状態であることが確認されます。申請時には、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を提出する必要があります。
管理体制の整備
住宅宿泊管理業務を的確に遂行するための体制が整備されていることも要件の一つです。具体的には、以下の点が求められます。
- 不動産に関する一定の知識を持つ者が業務を行うこと
- 宿泊者との連絡体制の確保
- 管理受託契約の締結に係る業務の執行が法令に適合すること
宅地建物取引士や賃貸不動産経営管理士の資格を持つ従業員の配置、苦情対応体制の整備などが必要となります。
欠格事由に該当しないこと
過去に重大な法律違反がないことなど、欠格事由に該当しないことも条件となります。具体的には、以下の点が確認されます。
- 心身の故障により業務を適正に行うことができない状態にないこと
- 破産者で復権を得ていないものでないこと
- 過去5年以内に住宅宿泊管理業者の登録を取り消されていないこと
申請時には、欠格事由に該当しないことを誓約する書面の提出が求められます。
登録申請に必要な書類
住宅宿泊管理業者の登録申請には、様々な書類の提出が必要となります。ここでは、主な書類について確認していきましょう。
登録申請書
登録申請書は、申請の中心となる重要な書類です。この申請書には、以下の事項を記載する必要があります。
- 申請者の氏名または名称、住所
- 法人の場合は役員の氏名、住所
- 営業所の所在地
- 登録を受けようとする事業の種類
申請書の記入方法については、詳細な解説資料が公開されているので、参考にすることをおすすめします。
添付書類
登録申請書以外にも、様々な添付書類の提出が必要となります。主な添付書類は以下の通りです。
個人の場合 | 法人の場合 |
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添付書類の種類は多岐にわたるため、漏れのないよう十分注意が必要です。
登録実務講習の修了証
個人の場合、宅地建物取引士や管理業務主任者などの資格を持っていない場合は、登録実務講習の修了証の提出が必要となります。この講習会は、一般社団法人全国農協観光協会や一般社団法人民泊向上委員会などの団体が主催しています。
講習会の内容は団体によって異なりますが、概ね1時間程度の修了試験が含まれます。申し込みは団体のホームページから行うことができます。
申請手続きと費用
住宅宿泊管理業者の登録申請は、国土交通大臣への申請が必要となります。申請手続きと費用について確認していきましょう。
申請手続き
申請手続きは、以下の流れとなります。
- 申請書類の作成
- 書類の提出(民泊制度ポータルサイトからアップロードまたは郵送・手渡し)
- 書類審査
- 登録番号の通知
書類の提出先は、主たる営業所を管轄する地方整備局となります。申請から登録完了までには概ね3か月の期間がかかります。
必要な費用
住宅宿泊管理業者の登録には、以下の費用が必要となります。
- 登録免許税:9万円(新規登録時)
- 手数料:19,100円または19,700円(更新時)
また、行政書士に依頼する場合は別途報酬が必要となります。行政書士鈴木侑事務所の場合、新規申請は88,000円(税込)、更新申請は66,000円(税込)の報酬が必要です。
まとめ
住宅宿泊管理業者の登録申請は、様々な要件と書類の準備が必要となる手続きです。財産的基礎や管理体制の整備、欠格事由への該当がないことなどの要件を満たす必要があります。また、登録申請書をはじめ、多くの添付書類の提出が求められます。
登録を受けることで、民泊施設の適切な管理運営が可能になり、宿泊者の安全確保や近隣トラブルの防止など、重要な役割を果たすことができます。申請にあたっては、要件や必要書類を十分に確認し、準備を怠らないようにしましょう。